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無口でも楽しかった渡部さん

作家の阿川佐和子さんがトーク番組に出ていました。
彼女のウィットに富んだ話が好きで見るとはなしに見ていたのですが、「なるほど!」がありました。

俳優の渡部篤郎さんにインタビューした時のこと。
会話は全く弾まず、阿川さんも周囲にいたスタッフも誰もが「今日は失敗だったな」と思っていたところ、渡部さんが言いました。
「これ、続けた方いいよ。」
驚いた阿川さんがその理由を尋ねると、「だって、楽しかったもん。」と渡部さんが言ったとか。
ほとんど無表情で何かを聞いても返事は返ってこず恐ろしく無口だった渡部さん。それでも彼は楽しかったと言うのです。

この時、阿川さんはとても反省したそうです。
「人の心の内はその人しかわからない。どんなに無表情だったり言葉が少なかったりしても、その人にとっては楽しかったり面白かったりする場合もあるし、笑顔ではしゃいでいるように見えても心は泣いている時だってある。ついつい私たちは目に見える表面的なところだけで自分勝手に判断しがちだけど、本当に人の心の内は分からないし、そんな風に勝手に決めつけちゃいけないんだって。本当に反省したんです。」

理屈ではわかっていても、人って本当に自分勝手に判断してしまうんですよね。
何も喋らないからつまらないのかな、とか。笑っているから楽しんでるのかな、とか。
ちゃんと報告してくれるからこのメンバーは大丈夫なんだろうな、とか。いつも無表情で仕事をしているから仕事が好きじゃないんだろうな、とか。

阿川さんは「どうして?」と渡部さんにストレートに尋ねました。
私たちも、本当のところは相手に直接聞かなければわからない所もたくさんあるはずです。

メンバーの心の中。上司の心の中。お客様の心の中。家族、友人、ご近所の方達等々。
聞いたからと言って、誰もが心の真ん中の部分を正直に話してくれるとは限りません。
しかし聞いてみないとわからないし、勝手に判断するだけでは大きく間違っていても気がつかないままなのです。

ああ。他人から話を聞き出す第一人者の阿川さんでさえもそうなのね。
自らの失敗談から得た学びを楽しそうに話す阿川さんを画面越しに見ながら、私も恐れずに相手の気持ちや考えを、もっともっとしっかりと聞いていこうと思ったのでした。

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