三十年ぶりに再会した学生時代の友人から、心動かされる話を聞きました。
それは、私たちが大学1年生の時。
彼は、期末にケガをし長期入院となってしまい、後期の試験を受けることができませんでした。
特に厳しい第二外国語の教授は容赦なく「不可」をつけることで有名。
必修科目で単位を取ることができなければ2年からの専門課程に進むことはできません。
試験日に病院のベッドの上という彼は、絶対絶命です。
そん中、一縷の望みを託して、彼は教授宛に手紙を書きました。
覚えたてのフランス語で。
病院のベッドの上で必死に辞書をひきながら。
本当にとても厳しい教授で、クラスメートでも進級できなかった友人がいたそうです。
彼はというと・・・
その教授は、ナント! 彼のフランス語の成績に「優」を付けたそうです。
彼がフランス語で書いた手紙の出来がどうだったのか、それは私のは分かりません。
しかし、彼の思いが教授に届いたのは間違いないと思います。
「お手紙大作戦」と苦笑いしながら語った彼ですが、私には、彼の必死の思いも、それを受け取った教授の懐の深さも、なんだかとても心を打つ話で、思わず目頭が熱くなってしまいました。
小手先のごまかしであれこれその場を凌ぐのではなく、しっかりと正面切って、自分のやり方で思いを相手に伝える。
それが例え拙くても、みっともなくても、自分の言葉で伝える。
それこそが、相手に思いを届ける、相手の心を動かすのだと、彼が改めて教えてくれました。
「そっかぁ。大変だったんだね~」
と笑いながら話した心の奥で、
「だから今の大成した彼があるんだね」
と、心の中で拍手を送ったのでした。