「売上を上げる」と経営者や営業マンは言いますが、厳密には、その表現は間違えています。
「売上を上げる」ではなく「収益を上げる」が正しい表現です。
どんなに売上を上げても利益が出なければ企業活動は赤字です。
自分達が提供しようとしているサービス・製品の原価はいくらなのか、それに対していくらの利益が妥当か、そこから売値は計算されるはずです。
〇〇円の売値を目指してコスト削減を図り、適正利益を確保した上で〇〇円で販売するなら良いですが、販売(=売上を上げる)が目的となり、コスト削減が叶わず利益を削ってでも〇〇円にすることは、適切な企業活動とは言えません。
原価と適性利幅を理解していれば、お客様からの値下げ要求に安易に応じることもなくなるでしょう。適正利益を確保できる範囲の値下げ要求なのか、売れば売るほど赤字なのか、コスト削減が可能なのか、厳しい努力が必要となるのか、担当者でも判断すること可能です。
かつて私が営業として勤めていた会社の営業目標予算は、収入(粗利)予算でした。一方、競合他社は売上予算でした。
売上を上げるために、破格の値下げ攻勢をかけられたことは度々ありましたが、「赤なら引け」が鉄則だったため、無益な値下げ合戦に巻き込まれることはありませんでした。一方、売上重視で価格競争に陥った数社のいくつかは淘汰されてしまいました。
ドラッカー曰く、会社の目的は儲けること、すなわち利益を上げることであり、売上を上げることではありません。
「売上を上げろ!」と檄を飛ばしている営業マネージャーや社長さんたちは、その言葉を「利益を上げるために考えて行動しろ」と言い換えてください。
たったそれだけでも社員の行動は変わり、PLの数字は良化してくるはずです。