善巧方便(ぜんぎょう ほうべん)
善巧とは巧みに善い⇒上手いこと
方便とはやり方(「嘘も方便」などと言いますね)
つまり「善巧方便」とは巧みに上手いやり方⇒相手や状況に合わせた上手いやり方という意味です。
昨日参加した勉強会で、「職場で感じるコミュニケーションの課題にどんなものがありますか?」との問いを受けました。
すると一人の参加者からこんな返答があったのです。
「言葉一つをとっても解釈や理解が違うので、そこを確認しておかないとミスコミュニケーションがすぐに起きてしまいます。」
新人とベテランとでは社内用語の理解度が異なります。
お客様と専門家では業界用語や専門用語の知識や理解度が異なります。
国籍が変われば母国語が変わります。
同じ言葉でも時代によって使われ方が変わってきます。
若者と年配の方でも使われる言葉が違います。
「楽しいこと」と言っても感じ方や捉え方は人それぞれ。
「褒められて嬉しいやる気になる言葉」も人によって実に異なります。(研修でこのワークをすると、本当に盛り上がります。)
人は自分基準で物事を考えるため、ついつい自分の言葉で話をしがちですが、相手にわかってもらうためにはその人に理解できる言葉で話をすることが必要です。
「通じてないのかな?」「わかってるのかな?」と感じたら、相手に理解を確認したり、使う言葉や表現の仕方を変えてみたりと、発信する側の工夫が必要です。
理解できない相手を責めるのではなく、発信する側が工夫すれば良いのです。
これは言葉・コミュニケーションに限ったことではなく、「やり方」という点においても同じですね。
自分のやり方がメンバーにとってのベストなやり方とは限りません。
新人の時のやり方がベテランになった今もベストとは限りません。
その時、その状況、その人によって変わって当然なのです。
間違っても自分の成功体験を押し付けたり、相手のやり方はおかしいと否定したりするのではなく、「今、この人にとってのベスト」を考えることが必要です。
自分の気持ちや考え方を相手に理解してほしいのであれば、相手に応じた言い方をする。
メンバーの成長を願うのであれば、自分のやり方を押し付けるのではなく、そのメンバーに適したやり方をする。
「善巧方便」
そんなこと当たり前だよ!
と流してしまうのではなく、常に心に留めておきたい言葉です。