世界初のイギリスの大手旅行代理店トーマス・クックが破綻しました。
トーマス・クックと言えば、私が旅行会社で現役バリバリの頃は、海外鉄道の時刻表やトラベラーズチェック、さらには欧州オペレーターとしてお世話になった、とても身近に感じる海外代理店の一つでした。
2017年の売上高は、国内最大手のJTBとさほど変わらず、雇用は単体で9000人強、グループでは2万人強と、その規模もJTBと大差がないものでした。
同社利用で旅行中の60万人が世界中で足止めを食って影響が出たとか、その方達のイギリスへの帰国費用が133億円だとか、大きく報道されましたが、私の最大関心事はやはり、
「時代の変化についていけないモノは必ず消える」
ということでした。
ダーウィンの進化論ではありませんが、「強いものが生き残るのではなく、変化できたものが生き残る」ということです。
かつて私が籍を置いた会社で、当時の社長に社内の大改革を進言したことがありました。
「尾藤さんの言うことは全て正論で、本当にその通りだと思う。けれども、うちのメンバーはあなたと違ってみんな、変化に弱いの。だから、そんなに急には改革はできない。少し時間をかけないと難しいわ。」
社長からの回答にすっかり失望した私は、この会社に未来はないと考え、辞表を提出しました。
その後、その会社は経営難に陥り他社と合併。当時の経営陣は今は皆いなくなってしまいました。
これは何もトーマスクックや私が所属した会社に限ったことではなく、世にあるすべての企業に言えることです。
予測不能な変化のスピードと波に晒されながら経済活動を続けている者にとって、「現状でOK」という企業はたった1社もありません。
今この瞬間は大丈夫でも、次の瞬間には全く使い物にならない状況に陥っていることだってあるのです。
変化に弱いとか、変化が怖いとか言っている余裕は誰にもありません。
弱かろうが怖かろうが、変わらなければ消え去るのみ。
それほどまでに状況は厳しくなっているのです。
でも何をどう変えていけばいいのかわからない・・・
そんなお声も聞こえてきます。
何も難しい事はありません。
お客様の声を聴くのです。
お客様の心を知るのです。
頑なに自分たちのスタンスを守り続ける事で柔軟性を欠いてしまってはなりません。
ポリシーを貫くことは大切ですが、お客様を無視することはあってはなりません。
それが時代の流れ・変化を読むということではないでしょうか。
私がかつて社内大改革を提言できたのは、私にスーパーアイデアがあったわけではなく、お客様がチラリと漏らした言葉や願望をまとめたものにすぎません。
答えは全てお客様のところにあるのですから、お客様にしっかりと寄り添うことで、変化の中身は見えてこようというものです。
あなたは、あなたの会社はお客様の声を聴いていますか?
あなたが、あなたの会社が売りたいモノを押し付けていませんか?
お客様の心を知ろうと努力できていますか?
あなたの会社は10年後、30年後もお客様から必要とされ続けていると胸を張って言えますか?
そのために何か一つ変えるとしたら、何を変えますか?