人手不足とあまりにもの忙しさでお疲れギスギス職場になってしまった支店へ異動になった元気印のYさん。
意気に感じて張り切っていたのですが、3か月も経たないうちにYさんから笑顔はすっかりと消え、もぬけの殻のようになってしまいました。
自分は期待されている。
自分が頑張らないといけない。
そう思えは思うほど、どんどんと苦しくなり、ひどい頭痛と眠れない日々が続き、このままだと自分は壊れてしまうとYさんは思うようになりました。
「自律神経失調症ですね。」
病院でそう診断され、軽い抗うつ剤が処方されました。
「私がうつ病・・・」
期待に応えることができない自分を情けなく思い、思いつめたYさんは、以前から可愛がってもらっている本社経営企画のH部長に勇気を振り絞って電話で胸の内を明かしました。
「支店で一人なんです。100人もいるのに、私は孤独で・・・。」
涙で声が詰まります。
H部長はただ黙って話を聴いていましたが、最後に優しく言ってくれました。
「そんなに支店は荒れているのか。みんな自分のことで精一杯で余裕がないんだな。辛いな、それは。けれども、決して一人じゃないからな。いつだって応援しているし見守っている。いつでも聞いてやる。いつでもSOSしてこい。お前は絶対に一人じゃないから。」
Yさんは泣き崩れてしまい、自分の辛さ苦しさの原因が、仕事が上手くいかないことではなく、孤独感に苛まれていることなのだと初めて気がついたのでした。
お疲れ職場を自分の力で元気にしたいと当初は鼻息も荒かったYさんですが、そのためには一人で頑張るのではなく、自分には協力者が必要だと、それも物理的協力者であるばかりでなく、気持ちの面でも苦楽を共有できる仲間が必要なのだと強く感じたのです。
H部長はYさんを気にかけて、折につけ連絡をしてくれて話を聴いたり励ましてくれます。
しかし、実際に日々仕事をしている現場での孤独感に打ち勝つためには、仲間が必要です。
Yさんはたった一人の奮闘から方針を変え、自分の仲間を見つけることから始めようと考え方と行動を切り替えました。
人は何かを成そうと思った時、いえ、何か特別なことではなく、ごくありふれたいつもの日常においても、「孤独を感じ続ける事」ほど辛く厳しいことはないのではないでしょうか。
「一人でいること」と「孤独を感じること」は別物です。
孤独を感じるとは、集団の中にいても心の交わりを感じることができない疎外感だったり不安感だったりという「心の寂しさ」です。
そういう環境でずっと頑張り続けることは、多くの場合、ほとんどの人は困難であると断言できます。
無視をする。
相手が困っていても気がつかないふりをする。
仲間外れにする。
相手に関心を示さない。
これらはどれも、相手に孤独を感じさせる行為です。
故意でなくとも、自分のことに精一杯で悪気はないけれども結果的に同様の行為をしてしまえば相手を孤独にしてしまうのです。
お疲れ職場でよくみられる現象です。
では一体どうすれば良いのか。
実はとっても簡単です。
「挨拶」をするのです。
互いの顔をしっかりと見て、目をちゃんと見て、大きな声で、はっきりと。
「おはよう」「お疲れ様」「ありがとう」「助かったよ」「ごめんなさい」「行ってらっしゃい」「おかえりなさい」
たったそれだけで変わるのです。
信じられないほど、血が通った、心の通い合う職場に劇的に変わるのです。
職場で誰かが孤独感を感じていたとしたら、それは全員の責任です。
あなたの職場は大丈夫ですか?
孤独を感じている誰かはいませんか?