我が家のゆうたが1歳半の頃のお話です。
体はすっかり大人になりましたが、中身はまだまだ赤ちゃんのまま。
初めてお会いする犬好きの老婦人に「この子は何カ月?」と聞かれ、
笑いながら「もう、1歳半なんですよ」とお答えしたほどです。
親犬や兄弟犬のもとを離れたのが早かったからなのか、
ゆうたは自分のことを犬だと思っていなかったのかもしれません。
マーキングは全くしませんし、
お散歩中に多くの犬が行うニオイをクンクンとチェックするお決まりの行動は、
彼の辞書には存在しないようです。
ドッグランでも、顔なじみのワン友ちゃんたちと同じ空間にいることは嬉しいようですが、
一緒に走ったりじゃれ合ったりということは全くせず、
どんなに誘われても知らんぷり。
それどころか、
「僕に構わないであっちへ行ってよ~」と言わんばかりに逃げ回り、
挙句の果てには私に「抱っこ~」と助けを求める有様です。
ところが!
ある時、ゆうたに変化が表れ始めました。
盲導犬を卒業したエリーちゃん(ラブラドール4歳)の後ろを
自分から追いかけるようになったのです。
ある時は、エリーちゃんがくわえていたボールが欲しかったようで、
「ちょうだい」と前足をほんの少し、エリーちゃんに出しては引っ込め、
また出して、と「犬らしい」行動をしていました。
ある日、エリーちゃん仲間がドッグランに勢ぞろい。
ラブラドール4頭にダルメシアン1頭の大型犬にゆうた。
これまでだったら勢いに圧倒されて、
「僕、ここから早く出たい・・・」と逃げ腰だったゆうたが、
遊びの輪にはまだ加われないものの、
興味津々、尻尾を振りながらそばへ近づいて、
それはまるで小さな子供がお兄ちゃんたちの遊びを羨ましそうに眺めるように、
ゆうたも遠巻きに眺めていて、自分からドッグランを出たいとは言わなかったのです。
それを見ていたエリーちゃんママが言いました。
「ゆうたくんもようやく、遊びの楽しさが分かってきたのかもしれないね。
ママ、諦めないで良かったね。」
そうなのです。
実は、ゆうたはワン友ちゃんたちとは遊べない子かもしれないと、
途中諦めかけたことが何回かあるのですが、
知らないだけ、弱虫なだけで、
楽しさを知ればきっと楽しく遊べるようになると自分に言い聞かせ、
毎日少しずつ、少しずつ、ゆうたが慣れていくように、私なりに工夫したのです。
「月齢マイナス1歳がゆうたの実年齢かも」なんて笑いながら私が言うと、
「いいじゃない。すぐに追いつくわよ。ゆうたくん、ほんと、犬らしくなってきたわよね。」
と他のワン友ママたちも言ってくれました。
犬が犬らしくなる。
そんな当たり前のことを私はずっと願ってきました。
なぜ、ゆうたが他の子達と遊べるようになると信じられたのかは正直分かりません。
信じたかったのかもしれません。
きっと大丈夫と無条件に信じたのだと思うのです。
自分の子供を、自分のメンバーをこんな風に無条件に信じることができたら、
何の駆け引きもなしに成長を願い信じることができたなら、
なんて素晴らしいことかと思います。
でも、それは親として、マネージャーとして本来の姿なのだと思います。
相手の成長を無条件に信じる。
それは無償の愛に近いものがあるのかもしれません。
そんな愛情を注ぐことができたなら、
子供は、メンバーは、いつの日か、
何物にも代えがたい素晴らしい果実をこちらにプレゼントしてくれることがあるのかもしれません。
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