「お互いにフィードバックしあいましょう」
こんな場面が研修やワークショップなどでよくあるのですが、
こういう時、フィードバックではなくアドバイスをする人が、
案外と多いのです。
今、私が受講しいるある講座でもそうなのです。
「尾藤さんは、何についてフィードバックしてほしいですか?
つまり、どこの質を上げたいかということです。
それがわかれば、適切なフィードバックができますから。」
???
ちょっと待ってよ! 適切なフィードバック???
口をあんぐり開けて、しばらく唖然とした私ですが、
冷静を取り戻して、笑顔で言いました。
「感じたままを、思われた事実を、そのまんま教えてください。
どうすれば良いかのアドバイスは、今はまだ大丈夫です。
まずは自分で考えたいので。」
でも、伝わらなかったみたい・・・。
フィードバックはアドバイスとは別物だということが。
フィードバックとは、
「I think」 とか 「I feel」など、
自分がどうかという客観的事実であり、
そこに「提案」や「ダメ出し」は不要です。
かたやアドバイスは、
「こうすればもっと良くなるんじゃないかな」とか
「ここは改めた方が●●にとって効果的よ」など、
その人の知識や経験に基づいた指摘・提案です。
例えば、私が作ったお味噌汁に対して、
「ちょっと味が薄い気がする」とフィードバックくれるのが父。
「だしの取り方が足りないのよ。」とダメ出しから始まり、
出汁の取り方のウンチクを述べてアドバイスするのが母。
これが続くと、フィードバックの父の話は、素直に受け入れられるのですが、
アドバイスウーマンの母の話は、ムカッと来ることもあるのです。
自分では全くそのつもりはないのに、
「あの人、すんごい上から目線だよね」
と他人から思われる人は、実は、
アドバイス(&ダメ出し)がとても多い! のかもしれません。
もちろん、アドバイスを求めている人にとってはそれで良いのですが、
例えばその相手がお客様だったり、
一定以上、仕事の経験値があって自信もついてきている部下だったり、
上司や先輩だったり、
そういった人たちにアドバイスをした暁には、
こちらが良かれと思ってしたアドバイスであっても、
「上から目線」とか「偉そう」「生意気」と思われてしまうのかもしれません。
かつての私はメンバーに対して、フィードバックは殆どなくて、
ひたすらアドバイスばかりだったように思います。
それが良いと勝手に思っていました。
でも、アドバイスばかりでは、メンバーに嫌われるだけでなく、
メンバーの考える力を奪うことにもなるのです。
フィードバックであれば、「じゃあ、どんな改善策を取ろう?」
「もっとこれを効果的にするにはどうしよう?」など、
メンバーが自分で考える機会を与えるのに対し、
アドバイスではそれができません。
アドバイスばかりの上司は、本当に困った上司なのです。
ちなみに前述の、共に学ぶ、「どこがフィードバック欲しいですか?」さん。
全く悪気はなく、「学びあう」協力的な姿勢がとても見られるだけに、
他からも「偉そう!」「上から」と思われていることがちょっと気の毒になり、
ある時、やんわりとお願いしてみました。
「どう思われたか、どう感じられたか、感想だけを教えていただけますか?
それについて、どうすればいいかはまず、自分の頭で考えたいんです。」
一瞬、驚いた表情をされていましたが、ようやく気がつかれたようです。
そうなのです。
フィードバックとアドバイスは違うのです。
あなたは大丈夫ですか?