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花寄せから学んだチームのあり方 忘己利他

茶道において、花入を出来るだけ多く茶室へ取出して並べ、それに同席する方が順次花入を選んで花を生けるという式法があります。
先日、お稽古へ行くと、床には5種の花入れとそこに添えられた花が飾られていました。
「前のお時間の方達は花寄せをしたんだわ」と思い、「私は備前に玉の浦(椿)が一番好きかな」と5種の中のお気に入りを探していたところ、先生が笑顔でこんなお話をしてくださいました。

花寄せをすると、最初のうちはみんな、「わ~。上手く生けられたぁ」とか「あの人のが一番上手よね」とか言うのよね。
でも、本来の花寄せは、一つの床に何種もの花と花入れが調和して美を為すものであって、誰が一番とかそういうものではないのよね。
自分が一番とか、自分だけ上手ならいいというのは違うのよ。
全体で一つの床に存在するのだから、どれか一つだけ目立つとかではいけないの。
だから、花を選ぶ時も、自分だけ好きな花を取って後の人は知らないというのではなく、後から取る人や自分以外の花入れとの調和を考えながら取るのよ。もちろん、お軸との調和もね。
私は何にも言わないで見ているだけなので、最初は自分が上手く入れることにしか頭にない人たちも、だんだんとやっていくうちに、そのことに気がつくみたい。全体で一つなんだという事に。

お床全体を見ないで、どれが一番上手に生けられているかと順番付けをしていた私の心を見透かされたかのようで、恥ずかしくなってしまいました。
先生がおっしゃる通り、競争ではないわけですから全体調和を考えなければいけません。
しかし悲しいかな、普段から競うことが当たり前になっているせいか、自分では気づかずに「自分が 自分が」と、自分中心に物事を考えてしまっているのかもしれません。

チームにおいても全く同じです。それぞれが全力で頑張ることは大切ですが、自分だけが一人良ければ良いというものではありません。
また、会社においては、一つの部署だけが良いというものでもありません。
さらに言えば、自社だけではなく業界全体を考える。さらにもっと大きな枠組みで考えることもあるでしょう。
それぞれが互いを思いやり全体調和を目指す、ある意味、忘己利他(「もう懲りた」ではないですよ~)の気持ちが必要です。

茶道のお稽古は、人としてのあり方における学びが本当に多くかつ深いものだと、しみじみと感じるのでした。

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