大手メーカーのS部長さんがポソリと言いました。
「いくら言っても納期を守らないメンバーがいて、この前、僕の方が切れちゃって怒鳴っちゃったんですよね。」
「ひどい言い方をしたのですか?」
「ちょっとキツかったと思います。過去のことまでほじくり返しちゃったし。それ以来、僕の事を避けてる感じがするんです。」
根はとても優しい部長さんだけに、メンバーさんの態度がとても気になるようでした。
「その後、S部長はメンバーさんに何かお話はしたのですか?」
「それが避けられているから何も・・・」
つまり、ガツンと言った後気まずくなってしまい、そのまま放置状態ということです。
「そうですか。S部長はそのメンバーさんの事は嫌いですか?」
「いえいえとんでもない。確かにいつも納期に遅れてルーズなんですけど、いいヤツだし、仕事もちゃんと一生懸命やっているし、カワイイ部下ですよ。」
「それは良かった。ところで、S部長が強く言ってしまった時、そこに『愛』はありましたか?」
「『愛』ですか? いえ、なかったです。自分のイライラをぶつけてしまった感じで。あいつのことを思って言ったというよりは、自分の怒りをぶちまけた感じでした。」
「そうですか。愛はなかったのですね。」
「はい。愛はなかったと思います。私から嫌われていると思ったかもしれません。だから避けているのかもしれないです。」
「そうですか。でも、メンバーさんの事を大切に思っている、愛は本当はあるんですよね?」
「はい。あります。でもどうしたら・・・・」
「そのまんまを伝えてみたらどうですか? イライラをぶつけてしまった・・・ と。そしてもしできるなら、その後に何か言葉を付け加えてみたらどうですか?」
「・・・・。そうですね。納期を守らないことは、それはそれで問題ですが、この前の件に関しては、私の『言い方』に問題があったと思います。実は、彼のこと以外にもちょっと問題があって、そんなことも重なってあいつに強く言ってしまったような気がします。下手に小細工せずに、素直な自分の気持ちを伝えます。」
「そうですね。その際に是非、『愛』を付け加えてくださいね。」
「はい。愛を忘れないようにします!」
部下に限らず、誰に対してでも「そこに愛はあるか」はとても大切なことだと思います。
どんなに丁寧な言葉を並べ立てても愛がなければ上っ面の薄っぺらい言葉にしかなりません。
たった一言でもそこに愛があれば、それは伝えられた相手にはとても心に響く大切な言葉になるかもしれません。
いつも私は自分に問うています。
そこに愛はあるのか?
いつもどんな時にも、愛で溢れる人でいたいと思っています。