私が就職した頃はまだ、「一生勤め上げる」という考え方が一般的であり、転職する人は落ちこぼれた人、何か問題があった人、という偏見にも似た考え方が色濃くありました。
転職せざる得ない理由があったのかしら? 会社に必要とされず居ずらくなったのかしら?
そんなうがった見方をしたものです。
しかし今では転職は当たり前。学生時代から起業してしまう人もたくさんいます。
キャリアアップを目指して転職することは当たり前のことと考えられ、大学卒業後初めて就職した企業でずっと働いている人は「他では勝負できないの?」などと冗談交じりにからかわれたりもします。
かつてわたしが勤めていた会社でも、「優秀なヤツほど辞めていくんだよな。だとすると、未だに残っている俺はダメな方か???」などと同期が皮肉交じりに嘆いていました。
そう!今や、起業も転職も本人がその気になればやりたい放題。自分が勤める会社、環境も選びたい放題なのです。
そんなこと分かっているよ!
と言わんばかりに、社員を縛り付けてしまうような施策ばかりを取っていないでしょうか?
大切なことは、社員が逃げないように縛り付けることではなく、社員が「この会社にいたい!」と選んでもらうことです。それは、決して給与やポジションだけではありません。何が選択肢の最優先事項になるかは、社員の多様性と同じ分だけ色々なのです。
それなのに・・・
今日聞いたある企業様でも、「ますます縛り付ける内容がひどくなってきて、息苦しくてたまらない」と中堅どころの優秀なメンバーさんが嘆いていました。
「私、今年度いっぱいで、辞めようと思っているんです。私にも会社を選ぶ権利はあるので。」
社員に選ばれる会社。選ぶ理由は社員一人一人違うでしょう。
しかし決してやってはいけないことは「エサをぶらつかせて見えない鎖で縛り付けること」です。
大切な社員から三下り半を突き付けられないよう、私たちは社員から選んでもらえる企業風土づくりに日夜励む必要があるのです。