指示を出すことは日常、当たり前に行われていますが、
正しくできている人(場合)は意外と少ないものです。
「これ、コピーしておいて」
「ポストに投函しておいて」
などの簡単な内容でさえ、
「拡大した方が見やすいからそうしますか?」「2in1にしましょうか?」
「速達の方がいいですか?」「レターパックの方が確実ですがいかがでしょうか?」
などと部下が確認しなければならないかもしれません。
(こんな風に確認してくれるのは、気が利いたナイス部下ですね。)
まして、複雑な業務内容ともなれば、「伝えたつもり」が伝わっていない、
「暗黙の了解」が指示する側の独りよがり、など、
正しく指示されていないがばかりに、結果が大きく異なる、
指示を受けた側が戸惑ってしまう、などが起こりえます。
正しい指示には次の必須3ポイントがあります。
1.期限
2.ゴール
3.目的
1.期限
何月何日、必要によっては何時まで、など、明確に示しましょう。
これがない指示は、指示とは言えません。
2.ゴール
ただ、「やれ」ではなく、到達地点を具体的に伝えましょう。
× 新規営業 目標2件!
〇 新規営業 売上△△円以上のお客様 2件以上獲得、年度内に売上計上できる案件
上司側は、期限内に売上計上できることをゴールとしているかもしれませんが、
部下は、受注契約できれば次年度の仕事でも良いと思っているかもしれません。
ゴールには具体性が必要です。
また、その仕事に100%を望むのか、だいたいで良いのか、
具体的完成度がないばかりに部下は混乱、上司はイライラということが
よくあります。
「あんなに時間かけてやる必要ないのに」
「だったら最初っから『だいたいでいい』と言ってほしかった」
など、意志の疎通を欠いたばかりに、双方にモヤモヤが生まれてしまいます。
× 議事録まとめておいて。
〇 見て分かればいいから、要点だけ手書きでラフにまとめておいて。
ゴールは具体的に、必要に応じて完成度合いや方向性などを
忘れずに伝えなければいけません。
3.目的
「なんのために」「どんな目的で」が分かれば、
指示を受けた側がその意を汲んで工夫を凝らす、
より良い方法を考えるなどが可能です。
「大切なお客様へのご案内状」を送るという目的が分かっていれば、
単に郵便で送るのではなく、封筒を高級和紙仕様にしてみる、
記念切手を使ってみる、などの配慮が生まれるかもしれません。
新規営業2件以上の難課題も、
「来年以降に柱となるお客様を今から探して育む」
「将来の新規事業立ち上げに向けて、可能性を探るために新規営業で方向性を探る」
などの目的理解ができていれば、動く側の意欲も変わってきます。
指示する際に最も抜け落ちるのが、この目的です。
指示する側は分かっていても、受ける側が「なんのために」が分からなければ
モチベーションも半減。
単なるやらされ感満載の指示受け人形になってしまいます。
どんな小さな仕事にも目的があります。
指示する際は、必ず最初に目的を伝えるよう気をつけましょう。
相手が指示通りに行動ができなかった、意思疎通を欠いたトラブルが起きた
等の場合、まずは自分の指示の出し方が適切だったかどうかを振り返りましょう。
指示する側は情報満載、色々な事が分かっていて指示を出していますが、
受ける側は情報欠乏症かもしれません。
必要な情報がないために分からない、できない、勘違いが起こります。
「わかっているはず」「前も言ったから」
などは思い込みかもしれません。きちんと、もう一度伝えましょう。
「そんなことまで言う必要はない」「これは知らなくても良い」
とわざわざ情報コントロールしている人も見受けられますが、
それが却って指示待ちを促進し、
相手の創意工夫を妨げる要因となっているかもしれません。
多すぎる情報は混乱を招くかもしれませんが、
考えて動く、創発を期待するのであれば、一定以上の情報は必要です。
期限、ゴール、目的にその情報をしっかりと込めて、
適切な指示が出せるよう、心掛けたいものです。