マネジメント・リーダーシップ

●●がない叱責は部下は心を閉ざす

大手メーカーのS部長さんがポソリと言いました。

「いくら言っても納期を守らないメンバーがいて、
この前、僕の方が切れちゃって怒鳴っちゃったんですよね。」

「どんなふうに怒鳴ったのですか?」

「ちょっとキツかったと思います。
過去のことまでほじくり返しちゃったし。
それ以来、僕の事を避けてる感じがするんです。」

根はとても優しい部長さんだけに、メンバーさんの態度がとても気になるようでした。

「その後、メンバーさんにどんなふうに接していますか?」

「それが避けられているから何も・・・」

つまり、ガツンと言った後気まずくなってしまい、
そのまま放置状態ということです。

「そのメンバーさんにどんな感情を普段は持っていますか?」

「いつも納期に遅れてルーズなんですけど、いいヤツだし、
仕事もちゃんと一生懸命やっているし、カワイイ部下ですよ。」

「なるほど。可愛い部下なのですね。
ところで、S部長が強く言ってしまった時、
そこに可愛い部下に対する『愛』はどれくらいありましたか?」

「『愛』ですか? いえ、なかったです。
自分のイライラをぶつけてしまった感じで。
あいつのことを思って言ったというよりは、
自分の怒りをぶちまけた感じでした。」

「そうですか。愛はなかったのですね。」

「はい。愛はなかったと思います。
私から嫌われていると思ったかもしれません。
だから避けているのかもしれないです。」

「そうですか。
でも、メンバーさんの事を大切に思っているのですよね。
つまり、本当は愛はあるんですよね。?」

「はい。あります。でもどうしたら・・・・」

「そのまんまを伝えてみたらどうですか?
イライラをぶつけてしまった・・・ と。
そしてもしできるなら、その後に何か言葉を付け加えてみたらどうですか?」

「そうですね。納期を守らないことは、それはそれで問題ですが、
この前の件に関しては、私の『言い方』に問題があったと思います。
実は、彼のこと以外にもちょっと問題があって、
そんなことも重なってあいつに強く言ってしまったような気がします。
下手に小細工せずに、素直な自分の気持ちを伝えます。」

「そうですね。その際に是非、『愛』を付け加えてくださいね。」

「はい。愛を忘れないようにします!」


部下に限らず、誰に対しても「そこに愛はあるか」がとても大切なことです。

どんなに丁寧な言葉を並べ立てても、
愛がなければ上っ面の薄っぺらい言葉にしかなりません。

たった一言でもそこに愛があれば、
それは伝えられた相手に、とても心に響く大切な言葉になるかもしれません。

いつも私は自分に問うています。

そこに愛はあるのか?

いつもどんな時にも、愛で溢れる人でいたいと思っています。

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