マネジメント・リーダーシップ

部下の強みを見つけられない上司がやりがちな勘違い

私もかつては失敗だらけの日々を過ごしていました。

法人営業のマネージャーをしていた頃、
部下からの信頼を得られず、
チームで結果を出すことに悩んでいました。

その頃の私は、部下に強みがないのではなく、
自分がその強みを見つけられていないことに気づいていませんでした。

部下の強みを理解するには、
まず自分自身の強みを知る必要があります。
そしてその強みを活かしてマネジメントすることで、
自分を偽らず、肩ひじ張らずに部下を育成できます。

「強み」とは「違い」である

マーケティング戦略の話を少ししましょう。
商品が市場で成功するには、
その商品が他とは異なる明確な強みを持つ必要があります。

ここで言う「強み」とは、
他より「優れている」ことではなく、他との「違い」
を言います。

同じことが人にも言えます。

例えば、「プレゼンが上手」というスキルがあったとしても、
全員が80点の中で85点を取れる程度では強みとは言えません。
しかし、全員が30点しか取れない中で80点を出せるなら、
それは明確な強みです。

強みは「他者との差異」です。

その「違い」を知ることで、
部下への仕事の任せ方や育成の仕方が変わります。

部下の強みを見つけられない上司が陥りがちな3つの勘違い

  1. 「全てのスキルが平均以上でなければならない」という思い込み
    部下が特定の分野に秀でている場合、
    それ以外の分野が弱くても問題ありません。
    むしろ、強みを活かし弱点を補う方法を考えるべきです。

  2. 「自分の基準で部下を評価する」という偏見
    自分が得意なスキルやアプローチを基準に部下を判断していませんか?
    部下それぞれの個性を認めることが重要です。
    個性=違いと考えることができれば、
    個性的で手を焼いていると思っている部下に対しても、
    部下の個性、すなわち強みを活かすヒントが見えてくるかもしれません。

  3. 「強みは目立つ成果にのみ現れる」という誤解
    強みは必ずしも目立つ形で現れるわけではありません。
    日々の細かい業務や部下の働きぶりを観察し、
    小さな「違い」を見つけることが大切です。

こんな会話、していませんか?

部下: 「Aプロジェクトの提案書、どう思いますか?」
上司: 「ここをもっと分かりやすく、あと全体の流れが弱いね。」
部下: (やっぱりダメか…)

このやり取り、よくありますよね。

私もこんな風に部下を指導していた時期がありました。
しかし、これは単なるフィードバックであり、
強みを引き出すものではありません。

強みを引き出すにはこう話します。

上司: 「この提案書のデータ分析部分、すごく説得力があるね。
他の部分も同じくらい丁寧に仕上げると、さらに良くなるよ。」

このように具体的な強みを認識し、伝えることで、
部下は自信を持ち、さらなる成長を遂げます。

自分の強みを理解していますか?

ここで一度、自分自身に問いかけてみましょう。

  • 自分の強みはなにか?
  • その強みをどのように活かしているか?

私はかつて、部下に「結果を出せ!」とだけ言い続け、
具体的な支援をせずに期待ばかりを押し付けていました。

しかし、私の強みである「他者の感情を敏感に察知できる」と
「困っている人を放っておけないお節介=面倒見の良さ」
を活かすようにしてから、
部下たちが主体的に動き、成果を出せるようになりました。

部下の強みを見つけるコツ

部下の強みを見つけるためには、次の3つを実践してみてください。

  1. 観察する
    日々の業務で、部下が得意とする部分や他のメンバーとの違いを観察しましょう。
    何をしている時にイキイキしているのか?
    どんな業務がスムーズに進むのか?
    変わっている、オリジナリティがあるは、すなわち強みです。

  2. 質問する
    「夢中になれることは何?」や
    「自分が人とは違うと思うことは何かある?」
    など、部下に直接質問してみてください。
    すぐに答えは見つからなくても、
    質問をきっかけに話が広がることで、
    部下の強みが見えてくるかもしれません。

  3. フィードバックする
    具体的に「ここが良い」という部分をフィードバックしましょう。
    否定的な部分に注目するのではなく、
    強みを強化することにフォーカスします。

部下に強みがないのではありません。
それを見つけられるかどうかは、上司であるあなたの「見方」次第です。

自分自身の強みを理解し、それを活かして部下の成長をサポートすることで、
無理のないマネジメントが可能になります。

ぜひ一度自分の強みを見つめ直し、
部下の「違い」に目を向けてみてください。

それが、部下の育成の第一歩です。

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