戦略人事

「社員満足度が高ければ業績も上がる」は本当か? 成果を生む組織の条件とは

「社員満足度が高ければ業績も上がる」── この“常識”、本当に正しいのでしょうか?

確かに、満足度は働きやすさや待遇改善の指標として有効です。
快適なオフィス環境、充実した福利厚生、柔軟な働き方などは、社員の離職防止や採用力向上に寄与します。

しかし、満足度が高いからといって、必ずしも挑戦意欲や成果創出につながるとは限りません。
実際、「満足度は高いが、業績は低迷している」という組織も存在します。

満足度とエンゲージメントは、まったく別物

Gallup社の調査によれば、エンゲージメントが低いチームは離職率が18~43%高い傾向があります。
(参考:Gallup The ROI for manager training: Why it’s your best defense against the great resignation / MassMEP The Benefits of Employee Engagement

一方、エンゲージメントが高いチームは生産性が14%、利益率が23%向上するなど、業績との強い相関が確認されています。
(参考:Gallup What Is Employee Engagement, and How Do You Improve It?)


ここで重要なのは、「満足度」と「エンゲージメント」の違いです。
満足度は、エンゲージメントを構成する重要な要素の一つですが、満足度が高くても、社員が組織への貢献意欲や、自律的な成長を求めていなければ、エンゲージメントは向上しません。

指標意味業績との関係
社員満足度働きやすさ・待遇への満足間接的(離職率低下など)
エンゲージメント成果への意欲・組織貢献意識直接的(生産性・利益向上)

満足度は「利便性」の指標であり、働きやすさを測るもの。
一方、エンゲージメントは「貢献意欲」の指標であり、挑戦・成長・信頼といった要素に根ざしています。

事例で見る「満足度と業績のズレ」

実際の企業事例を見てみましょう。

A社:オフィス環境や福利厚生を改善し、社員満足度は急上昇。安定志向が強く、挑戦意欲は低い。売上は横ばい。

B社:目標設定は高く、満足度は中程度。挑戦文化が根付き、売上・利益は大幅に伸長。

この違いは、「何に満足しているか」の中身にあります。
快適さだけでなく、

  • 自分の成長機会がある
  • 上司に信頼されている
  • 挑戦できる文化がある

などの要素が、業績ドライバーとして機能しているのでしょう。

本当に測るべきは「挑戦・信頼・学習」の文化

社員満足度はあくまで「感情のスナップショット」にすぎません。
業績の先行指標としては不十分です。

本当に測るべきは、業績や生産性につながる行動要因 ― 挑戦機会、信頼関係、学習文化などに基づくエンゲージメントです。

成果を生む組織をつくるには、「満足度」よりも「挑戦意欲を引き出す仕組み」に目を向けることが不可欠です。

『組織を強くする実践知』
 最新記事をメールでお知らせ!

 ✔ 無料 
 ✔ いつでも解除OK
  こちらから登録してください!
  リーダー育成・組織開発の最前線から、あなたのビジネスを加速させる実践知を毎日お届けします。 

タイトルとURLをコピーしました