マネジメント・リーダーシップ経営幹部育成

リーダーの葛藤──“正しい”選択が必ずしも最善とは限らない

リーダーは、日々、意思決定の連続である。

経営を左右する大きな決定もあれば、日常の些細な判断もある。
深く思考を重ねた末の決定もあれば、瞬時に下す判断もある。

意思決定に迷う理由は、単に「正解が分からないから」ではない。
むしろ、何が正解か、どこへ向かうべきかが分かっていても、
その「正解」を選ぶことに、ためらいを感じる場面がある。

たとえば、マイケル・サンデル教授の『正義』の授業にもあるように、
多数の利益と少数の利益を天秤にかけ、数の論理で意思決定をすることが、
果たして“正義”なのか。
そんな問いが立ち上がる瞬間がある。

ある意思決定が、会社の財務諸表にプラスの影響を与える。
法的には問題がない。
しかし、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の観点から見れば、
その選択は、組織の価値観に背くことになるかもしれない。

最近、私自身も、意思決定に深く悩む出来事があった。
一般的なセオリーで言えば「Go」が妥当だった。
しかし、私の中の倫理観が「Not Go」とブレーキをかけていた。

こうなると、理屈では割り切れない。
誰かに相談するでもなく、自分との対話を重ねながら、結論を導き出すしかなかった。

そして私が選んだのは、「Not Go」だった。
その選択基準は、「他人にどう思われるか」ではなく、「自分がどうありたいか」だった。

その結果、短期的には売上に多少のひずみが生じるかもしれない。
しかし、それは必ず取り返せる。
いや、取り返すと決めている。

それよりも大切なのは、「我々は何者か」「どうありたいか」を貫くこと。
私自身がその姿勢を崩さずにいることが、チームが大切にする価値観や風土を守る、何よりの手段だと信じている。

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