マネジメント・リーダーシップ

リーダーが安易に口にしてはいけない「赤字だから〇〇〇」

業績が悪い部署を率いるリーダーは実に辛いものです。
自部門が他の足を引っ張っていると分かっているので、営業会議では肩身の狭い思いをします。それが数か月にもわたる、改善されるどころか停滞、悪化が続けば、自分自身がダメ人間になってしまったような錯覚にさえ陥ります。

数字を良化しようとする時、最も安易な方法は、経費削減です。残業規制、水光費の切り詰め、交際費を削り、外注費削減のために自前ですべて行ってみたりもします。それでも上手くいかないと、人員削減を考えます。

しかしそれらは業績改善の根本的解決手段でないことは言うまでもありません。
業績を上向かせるためには、今、上手くいない理由を正確につかむとともに、どのような戦略で向上を図るのかを練り、そこに向けて動いていくことが必要です。そんな誰もが分かり切っていることにも関わらず、「赤字だから人を削る」「赤字だから人は増やせない」と平気でつぶやく上司のなんと多いことか。これでは、部下はやる気を失うだけでなく、上司への信頼も尊敬も抱くことができません。

業績が悪い時ほど、ゴールとそのための戦略を共有し、一致して乗り越えていくことが必要です。人員削減は万策尽きた最後の手段であり、ギリギリの努力なしに、安易に言葉にするのは、上司として自分の無能を宣言しているのと同じであると、自覚しなければいけません。

売上げが落ちているのなら、落ちている原因の解明と向上の対策が必要です。マーケティングに問題があるのか、製品・サービスの質が落ちているのか、そもそもの価格設定に問題があるのかもしれません。
経費が増大して収益を圧迫しているのなら、仕入れの見直しや無駄を省くだけでなく、収益構造そのものの見直しが必要になっているのかもしれません。

製品・サービスの質を担保して目標売上を達成するための戦略を練り、その戦略を実現可能な人員構成を決めて実行する。それでうまくいかないのであれば、戦略通りに動けているか、戦略は適切かを検証、再考すべきです。

人を切るのは簡単ですが、一度失ってしまった社員のやる気や信頼は、再度増員をしたとしても、簡単にもとには戻りません。

「赤字だから人を減らず」「赤字だから増員しない」は、リーダーとして最も考えのない愚かな発言です。どうしようもなくて人に手を付けなくてはならない状況になったとしても、その時には、リーダーとして自分の才覚が至らなかったからだと、自らの失点として受け止める覚悟がリーダーには必要です。

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