戦略人事

「会長語録」に埋もれる社員たちから2代目を救え。2代目社長を覚醒させる「参謀」の仕事


「2代目の相談相手になってほしい」

そうご依頼いただいたのは、創業20年を過ぎた会社の初代オーナー。現会長だった。

「自分は口出ししないから、二代目が自分の足で立てるようにしてやってほしい。」

口出ししないなら、相談相手も会長が決めるのではなく、2代目が自分で決めた方がいいのでは?
と思いつつも、諸々のご縁でお引き受けした。

「MVVを創りたい」
代替わりと共によくある話。

「自分だけでなく、中核メンバーとチームを創って、皆で考えたい」
それはいいけど、「軸となるベース」は2代目の考えが必要だし、「決める」のは2代目ですよ。

そんなこんなでプロジェクト発足。
そしてすぐに分かったこと。

MVVチーム結成は、初代の方を向いている中核メンバーに、2代目の方を見てほしいという思いの表れだった。
チームでの話し合いの際、「会長はこう言ってたよね」「会長語録から引用したら?」と、会長の影響が色濃く残っているのがメンバーの言葉からよくわかる。
メンバーたちは、現社長の2代目に気を使っているが、見ているのは明らかに初代の方。
2代将軍秀忠を目の前に、駿府のご隠居様の顔色をうかがう幕府の忠臣のようだ。
このままではMVVができたとしても、初代の影響力の陰に、2代目は埋没してしまう。

私が考えた荒療治は、MVVでの話し合いを利用して、事あるごとに2代目の『想い』を語ってもらい、メンバーからのツッコミ質問を促し、「ワイガヤ」のような状態に落とし込んで、2代目とメンバーとの「心の距離」を縮めたこと。

途中、2代目は私に恨み節をなんどか呟いた。
「こういうの、苦手なんだけど」
「会長みたいなカリスマ性、僕にはないから」

「あとを継ぎたくて継いだのですか? 仕方なく継いだのですか?」
私の容赦ないニコパン(ニコニコパンチ)。

2代目は、ポソリポソリと、事業への想い、夢を語りだす。

「それ、みんなに言いましょうよ。今すぐ、言いましょう!」

このころになると、私は「春日局」の気分。(彼女は家光の乳母だけど、ここは細かいことは抜きにして)
春日局は大御所様とも普通に話をする。
私も大御所様ならぬ会長と「2代目、頑張ってますよ」報告をしながらも、「その大きすぎる影響力。なるべく封印してくださいませ。」と釘をさす。

「君は最高の『秘書』になれる!」
かつて、某有名企業の創業オーナー社長に口説かれたことがある。

そう、私は秘書として優秀だと思う。自分でも。
でもそれは、単に、スケジュール管理をしたり、来客のためにグレープフルーツをデザインカットしたりするのが上手い、ということではない。(かつて私が勤めた某企業の秘書室は、グレープフルーツのデザインカットが出来なければダメだという、まことしやかな噂があった💦)
経営者(エグゼクティブ)のビジネスパートナーとして、組織の意思決定を最適化するための戦略的な補佐を行う役割のことを指していた。

「うち(の会社)にこない?」
とてもありがたいお声がけだったけど、当時の仕事を「天職」と思っていたので、丁重に御礼を言ってお断りした。

今、2代目に対して私が行っていることは、かつてスカウトしてくださった方がおっしゃる「秘書=エグゼクティブ・アシスタント」そのものだ。
この役割が私は好きだし、楽しいし、心からのやりがいを感じる。

相談相手ではなく、2代目の戦略「パートナー」として認めていただいた私のその会社での肩書は、「EA(エグゼクティブ・アシスタント)」だ。
まあ、肩書なんてどうでも良いのだけど。
人の力になれる、人のお役に立てる。
「表」ではなく「支え」となって相手を輝かせる。

それが私の「使命」なのかな、と今では思っている。

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