「社員の視座が低い」—多くの経営者が抱える悩みです。
しかし、視座は個人の努力や資質ではなく、「環境」がつくるものです。
20代前半の頃から、上司やお客様から「視座が高い」と言われ続けてきました。
特別に努力した記憶はありません。
ただ、気づけば自然とそうなっていました。
理由は明確です。
新卒1年目から私の仕事相手は、中小企業の社長、大企業の役員・部長クラスが中心でした。
年齢も立場も上の方々と接し、考え方や課題を「聴き続ける環境」に日常的にいたのです。
わからなくても聴き、会話を重ねる。
この積み重ねが、まだ経験も立場もない若手の私に「上層階の景色」を見せてくれました。
視座が上がるとは「見える景色が変わる」こと
1階の窓から見える景色と、2階の窓から見える景色は全く違います。
2階の視点を知らなければ、比較しようがありません。
しかし、2階にいる人が丁寧に説明してくれれば、 1階にいながらでも「2階からの景色」を想像できるようになります。
私が経験していないにも関わらず、経営者や上司の考えが「頭で理解できた」のは、 まさにこの説明を日常的に聴き続けていたからです。
ポジションが低くても、視座は上がる
視座を上げたければ、すでに視座の高い人の話をできるだけ多く聴くことです。
考え方、判断基準、倫理観、抱えている葛藤——どんな話題でも構いません。
聴くほどに、自分との違いが自然と見えてきます。
そして、その環境に何度も身を置くほど、視座は確実に上がっていきます。
視座が上がらない組織は、上司・経営者の責任
「うちの社員は視座が低い」 「メンバーが自走しない」
こうした声はよく耳にしますが、原因はほとんどの場合「本人」ではありません。
上司や経営者との質の高い会話が圧倒的に足りていないのです。
指示命令だけでなく、
- その判断に至った背景
- 二択を迫られた時の基準
- 価値観、倫理観
- 何を大事にして意思決定しているのか
これらを語っているかどうかで、部下の視座は大きく変わります。
たとえば、ある施策を中止する判断をしたとき、 「この施策は中止します」だけでなく、
「当初期待していた効果と現状のギャップを分析した結果、 リソースを別の施策に振り向けた方が投資対効果が高いと判断しました。短期的な損失より、中長期の成長を優先する判断です」 と説明する。
この一言があるかないかで、部下が得る学びは全く違います。
経営情報が開かれるほど、視座は育つ
私が新卒で入社した会社では、チームのMTGで支店のPLを使って営業会議を行っていました。
その結果、入社1年目の夏には全員がPLを読めるようになっていました。
数字が読めると、 施策の背景、会社方針の意図、経営の論理が自然と理解できるようになります。
20代半ばには、営業本部の施策や目標設定の理由も推察できるようになっていました。
環境が、視座の成長を強制的に後押ししてくれていたのです。
視座は「環境」が整えば、勝手に上がる
視座は時間が解決してくれる問題ではありません。
「何となく働いているだけ」では一生上がりません。
しかし、
- 高い視座の人たちと会話をする
- 判断基準に触れる
- 経営情報にアクセスできる
こうした環境が整えば、視座は放っておいても自然と上がっていきます。
組織として視座を育てるかどうかは、マネジメント側の責任です。
視座が高い人が増えれば、組織の判断力も、スピードも、成果も確実に変わります。
明日から始められる3つのこと
視座を育てる環境は、今日から作り始めることができます。
1. 自分の判断プロセスを言語化する
指示だけでなく「なぜそう考えたか」を説明する習慣をつける。
結論に至った背景、迷った点、優先した価値基準を伝えることで、部下は思考の型を学びます。
2. 経営情報を適切に開示する
業績、戦略、課題を共有し、経営の論理に触れる機会をつくる。
数字の読み方、市場の見方、競合の捉え方を知ることで、部下の視野は一気に広がります。
3. 「上層階の景色」を語る場を設ける
1on1、MTG、社内通信など、形式は問いません。
経営者や管理職が「今、何を見て、何を考えているか」を語る時間を定期的に持つこと。
それだけで、組織の視座は確実に変わっていきます。
視座を育てることは、組織の未来を育てることです。
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