失敗だらけのマネージャーだった私ですが、時には上手くいったこともあります。
「あなたに言われたくありません!」と真正面から私を否定し、マネージャーとして認めてくれなかったKさん。
仕事は物凄くできるけど私には拒否反応アリアリだったKさん。
そんなKさんと本当に信頼できる関係を築くことができたのは私の小さな自慢の一つです。
一体どうしたのか。
方法は至ってシンプル。私の席をKさんの隣にしたのです。
朝は「おはよう!」
Kさんが出かける時は「行ってらっしゃい!」
帰ってきたら「お疲れ様!」
「今日は暑いね。」
「そのペンケース、素敵だね」
「疲れてるみたいだけど大丈夫?」
「何か手伝おうか?」
全く返事が返ってこずに無視され続けても、ひたすら話しかけ続けました。
きっと、うっとおしいうるさいマネージャーだと思われたにちがいありません。
それでも、隣にいるからこそわかる些細な事柄を見失なわないよう注意しながら、折につけ声をかけ続けたのです。
「おはようございます!」
ある朝、Kさんの方から朝の挨拶をしてくれました。
「ちょっと相談あるんですけど10分くらいいいですか?」
お客様のことで相談があると声をかけてくれた時にはひっくり返りそうなくらいに驚き、同時に小躍りしたいほどに嬉しかったのを覚えています。
少しずつ、少しつずつ、距離が近くなっていくのが分かりました。
いつの頃からか、Kさんは何でも話してくれるようになり、周囲の誰が見てもお互いを尊重し合っている二人になりました。
最初、Kさんと隣同士の席にしたいと私の上司に報告した時、止めた方がいいんじゃないかと言われました。
あの子と仲良くなるのは難しいと思う。他人に関心ないみたいだから。
そんな風に忠告されました。
そうかなぁ。突っ張ってるだけじゃないかなぁ。
上司の心配をよそに隣の席に席替えすることを決断した理由はただ一つ。
浮いたメンバーを作りたくなかったからです。
正直、最初のうちはストレスがありました。
暖簾に腕押し状態。
話しかけてスルーされるのはキツイものです。
それでも行動し続けることができたのは、Kさんの鼻っ柱をへし折りたいというのではなく、本音で話せる関係になりたいという思いが強かったからだと思います。
後から聞いた話ですが、私が隣の席になると分かった時、「うそでしょ。何考えてんだかこの人。最低!」とKさんは思ったそうです。それでも毎日毎日飽きずに話しかけてくる私に根負けしたと。無視している自分の方が悪い人間に思えてきて、いつの頃からか話すことに抵抗がなくなったと。そんなことをKさんは打ち明けてくれました。
人と人との距離を縮めるために、まず物理的距離を縮めてみる。
単純なこの方法。実はとっても効果的です。
物理的距離が縮まったらその次は、反応を期待することなく声をかけ続ける。
ここからは根競べですね。
「おはよう!」と声をかけて最初は聞こえないふりや無視であっても、一カ月も続けていればたいていの人は小さな声でボソッと「おはようございます」と返してくれるようになります。
人の心理とはそんなものではないでしょうか。
メンバーとの精神的距離は近いに越したことはないでしょう。
そのためには物理的距離をまず縮めてみることを是非考えてみて下さい。
だって、精神的距離があるメンバーとは恐らく物理的距離も決して近くはない場合が大多数だからです。
Let’s challenge !!