「仕事ってお金を稼ぐための手段ですよね」と無表情に呟くHさんはとても疲れているように感じました。
社会人5年目。
仕事や会社を「好き」と感じたことはなく、働くことは「義務」であり、そこに「楽しい」という感情が生まれるわけがないと彼は言います。
話を聞けば聞くほど、ただ義務感だけで毎日働き続けているHさん。
仕事仲間との交流はほとんどなく、全く自分の殻に閉じこもってしまっているように見受けられました。
本来は陽気でお茶目なキャラクターのHさんですが、今の会社は就職試験に軒並み失敗の末、ようやくたどり着いた最後の一社だったそうです。
自分を拾ってくれた会社なので何とか前向きに頑張ろうと最初は思っていたそうですが、理想と現実のギャップに打ちのめされ、今いるところでは全く希望が見えないと、殻に閉じこもるようになってしまいました。
仕事=金銭獲得の手段=辛く苦しいのは当たり前
今のHさんは仕事をそんな風にとらえています。
それを全く否定するつもりはありません。
しかし、ほんの少し見方や捉え方を変えることによって、もっと毎日が楽になるのに。
1日8時間の終業時間が忍耐・苦行の時間ではなく、快適なものになるのに。
同じ「義務」であっても、楽しくその時間を過ごせるなら過ごしたい。
義務=苦痛ではなく、義務であっても楽しいものにか変えることができる力があるなら、私はそうしたい。
私はマネジメントは生き方そのものだと思っている。
同様に、仕事は自己表現の場だとも思っている。
明るく楽しそうにイキイキとした自分を表現する場なのか、暗くどんよりとした他人が敬遠したくなる負のオーラを醸し出す場なのか。
今の現状は冷蔵庫の中身。その中身を使っていかに料理=自己表現するのか。
私は可能な限り美味しい料理=自分がありたい理想の自分を表現したいと思っている。
そんな事をHさんにお伝えしてみました。
腐るのは簡単。でも、誰しも腐った自分でいたいとは思っていないはずです。
しかし、はからずもHさんは「腐ったHさん」を5年もの間、職場で表現し続けていたことに自ら気がついたようでした。
「僕は学生時代、サークルでめいいっぱい自己表現できていたと思うんです。けど、社会人になってからは、会社では全くゼロで、プライベートでもその場が見つけられなくて、一人で勝手に投げやりになっていました。自己表現の場がないんじゃなくて、どこでも自分がその気になれば、そこが自己表現の場になるんですね。今日からもっと前を向きます。」
そう言ってくれたHさんの表情は、これまで見たことがないくらいにイキイキと輝いていました。
マネジメントは生き方そのもの。
仕事は自己表現の場。
何をどのようにとらえるかでモノの見え方は全く変わるものです。
あなたはどうですか?
もし、今、ちょっとばかりネガティブに感じていることがあったとしたら、その見方・とらえ方を変えてみませんか?