ケース1
「ついつい、うるさく言っちゃうんですけど、それがメンバーのやる気を逆に奪ってるんですね・・・」
「そうかもしれないね。じゃあ、明日からどうする?」
「うるさく言うの止めます。」
ケース2
「本当は自分が傷つきたくないから正面からちゃんと向き合っていなかったんです。」
「そっかぁ。じゃあ、どうする?」
「ちゃんと向き合います。」
ケース1の場合もケース2の場合も、多くの場合、うまくいきません。
なぜって・・・
うるさく言うのが悪いと本心から気づいたとして、すぐに止めることができるなら、とっくの昔に止めているはずです。
同様に、ちゃんと向き合えるのなら、以前から向き合っているはずです。
すぐに止められなかったり向き合えないから、なかなか現状から脱皮できないから今の状態なのです。
それを止めます、向き合いますとそんな簡単なことではないはずです。
ところがマネージャーしかり、親や教師もしかり、「止めます」「します」とこちら側が望む答えを相手が口にするとそれで満足し、できないと「やるって言ったじゃないか!」「やらないって言ったでしょう!」と叱るのです。
そもそもが間違えているのです。
では、どうすればいいのか。
ゴールにたどり着くために「何をする」かを問うのです。
ケース1
「じゃあ、メンバに口うるさく言うのを止めるために、あなたは何をする?」
ケース2
「正面から向き合えるようになるために、何をする?」
うるさく言うのをやめるのも正面から向き合うのも得たい結果です。しかし、いきなりそこには辿り着きません。というか、いきなりは難しい。ですから、そこへ向かうために、まず何をするのかを質問するのです。
ケース1なら、「何か言いたくなったら深呼吸する」でも「メンバーの良いところを5つずつノートに書きだし、毎朝それを口に出して言う」でも構いません。
ケース2なら、「挨拶は自分から声をかける」とか「週に1回はランチを一緒に取り仕事以外の話をする」などはどうでしょうか。
ここに正解はありません。思いついた「する行動」を目標にするのです。
小さな一歩の積み重ねが必ず大きな結果に繋がります。
こう言うと、時々、こんな方がいらっしゃいます。
「僕は『眉間に皺を寄せない』という行動をします。」
つまり、「『~しない』という行動をする」というのです。
間違いではありません。
しかし、できれば「~する」という行動をお勧めします。
なぜならば、人間は「~しない」計画よりも「~する」計画の方が取り組みやすいからです。
ダイエットだって禁煙だってそうですよね。食べない、吸わないという禁欲計画ではなく、「代わりに〇〇をする」などの「~する」ことに取り組んでいます。
ですからあなたはこんな風に聞いてあげてください。
「ついつい、うるさく言っちゃうんですけど、それがメンバーのやる気を逆に奪ってるんですね・・・」
「そうかもしれないね。じゃあ、明日からどうする? うるさく言うのを止めるために何をする?」
「本当は自分が傷つきたくないから正面からちゃんと向き合っていなかったんです。」
「そっかぁ。じゃあ、どうする? 正面から向き合えるようになるために何をする?」