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すべては関係の質から始まる ~店と客の間でも

「僕、ゴマージュマッサージは初めてなんです。緊張していますが、よろしくお願いします。」

本当に緊張した表情で挨拶してくれたのは、いつもの美容院のアシスタント君。
疲れた頭皮のデトックスマッサージをと思い、ゴマージュのマッサージをお願いしていたのですが、担当スタイリストさんに変わり、アシスタントの中でも若手君が私にアサインされたのでした。

その美容院に通いだしてから私も随分と立つので、新人君たちが私にアサインされ、その結果を店長である担当スタイリストさんが密かに聞きにくるということはよくあることでした。

「緊張してます。」という挨拶に初々しさと新鮮さを感じた私です。
「比較的強めにお願いね。」と笑顔で言葉を返しました。

実際、彼のゴマージュマッサージはとても上手でした。
「すっごい上手。」
「ちゃんと、頭蓋骨の割れ目のツボに指入ってる。」
「力加減、いい感じ。」
「すんごい気持ちいいよ。途中、何度も意識飛んじゃって、ホントに頭、すっきりした。」

敢えて意識的に、彼とのコミュニケーションを図りました。
私が何か言うたびに、
「ありがとうございます!」
「すっごい嬉しいです!」
「ホント、めっちゃ嬉しい!何よりの誉め言葉です!!」
と満面の笑顔で答えるアシスタント君。
「僕、マッサージ好きなんですよ。こんなにお客さんに喜んでもらえて、ホント、嬉しいです!!!」
声を弾ませてそう言う彼は、まだまだアシスタント君ではありますが、すでに立派なスタイリストの顔をしていました。

サービスを受ける側(お客様)がサービスする側(店)のモチベーションを上げてあげることもできるのです。
「サービスが良かったからその結果が『ありがとう』」ではなく、お互いに心地良い時間を共有することで、より良いサービスを提供しようとするし、受ける側も感謝の気持ちが一層強くなるのだと思います。

「お金を払ってるんだから」と上段から構えるのではなく、より良い関係の中でより良いサービスを受けることは支払う対価以上の温かな何かを得られるに違いありません。

お店を出る時、いつも記入するアンケートには花丸二重丸をつけると共に、アシスタント君の個人名を記載して感謝の言葉を添えました。

すべては関係の質から始まる。
店と客の間柄においても言えることなのだと思います。

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