マネジメント・リーダーシップ組織開発

経験が通用しない

「今度の台風は東京から大阪へ来るんですよ。」

大阪での仕事中、お客様からそう聞いた私は
「またまたぁ。そうやって、いつもの冗談を!」
と言ってしまいました。
「台風は西から東へ移動するもの。天気は西から東へ変わっていくもの。」と思っていたからです。

しかし既知の通り、今年の台風12号は観測史上初の東から西への進路をたどり、おまけに九州で一回転するという、異例尽くしのものでした。
気象庁は早くから、「これまでの経験は通用しない」と強く呼びかけ、思い込みによる行動を思いとどまるようにと訴えていました。

「異常気象」と一言で片づけてしまえばそれまでです。
しかし、今回の台風12号は、「固定観念に縛られるな!」「経験からの学びは大切だけど、経験ばかりにとらわれるな!」と今の私たちに訴えかけているように感じられました。

同じことを長く続けているとそれだけ経験値は増えます。
成功体験も失敗体験も増え、それらを踏まえての「既定」が気づかずして自分の頭や心の中に植え付けられてしまっています。
しかし、それらは時としてとても危険です。どんな時にも経験に頼るのではなく、「100%そうだよね」と思うと時でさえも、「経験外から物事を見る目」を持たなくてはならないと強く思ったのでした。

「そのうちお日様も、西から昇って東へ沈む時が来るかもね。」
と私が冗談めかして言うと、
「いやいや、本当に、何が起きても不思議じゃないくらいの柔軟性が必要だよね。」
と応えてくれた仲間。
まさにその通りです。

バカボンのパパがバカなのではなく、固定観念に縛られた私たちの方がカッチンコッチンのただの石頭のおばかさんなのかもしれません。

掃除や後片付けは上司や先輩が行い、新人や若手は自分たちの仕事に早く慣れ覚えることに専念する。 
報告や相談は部下が上司に義務として行うものではなく、上司が部下に報告・相談してもらえるように工夫することが基本であり、報連相をしてもらえない上司に問題がある。
査定は上司が部下に対して行うものではなく、自分がどれくらい成長できたか、それに上司やチームはどのくらい貢献してくれたのか、部下が先輩や上司の評価を行い、それらが直接査定に反映される。

「これらすべて、これでいいのだ~」
きっと、そんな時代も遠からずやってくるのかもしれません。

台風が東から西へ移動する時代。
これまでの正解が絶対ではない時代。
何でもありの時代。

だからこそ、心と頭を柔軟に、メンバーとの関係はこれまで以上に風通し良く、互いを尊重し、ポジションはあくまでも役割にしかすぎず、その存在価値は平等であると強く認識し、日々の仕事に向き合っていきたいものですね。

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