組織開発誰だって変わることができる

アンラーニングしていますか?

私たちは物心ついた頃からラーニング(Learning:学習)のやり方を学び、大人になってからも必要に応じてラーニングし続けています。
しかし、よくよく考えてみると、ひたすらラーニングを続けていても、「A理論が絶対に正しい!」と思ってしまったら、異論を唱えるB理論や数十年先を行っているだろうと思しきC理論については学んだつもりでも上澄みをさらっただけで、身につくことがありません。
では、どうすれば良いのか?
ここで、アンラーニング(unlearning)が必要になってくるのです。

un+learningで「学ばない」という意味ではありません。
一般的には、学びなおしとか学びほぐしとか言われていますが、簡単に言うと、「一度学んだことを『本当に正しい?必要?これで良いの?』と批判的に(否定的ではありません)見直し、新たに学び直すこと」です。

絶対にコレ!
ではなく、
本当にソレ? なくてもいいんじゃない? 別のコッチでも良くない?
と疑ってかかることが大切なのです。

つまり、「固定観念に縛られないで、頭をもっと柔軟にしましょうよ!」というお話です。

と、ここまでは誰もが分かる話ですが、つい先日、大手企業勤務の50代半ばと思しき方がポソリとおっしゃったのです。
「これまで、『上の言うとおりにやってろ!』と言われ続け、僕ら技術屋はとにかく、言われたことを必死でやってきた。
ところが最近、急に、『自分で考えてやれ!』と言われて戸惑っている。
変わらなきゃいけない。
アンラーニングが必要なのはわかっているけど、僕ら、ラーニングのやり方は学んできたけど、アンラーニングのやり方は教わっていないから、どうしたらいいかわからないんです・・・。」

なかなか切実な訴えに、
「確かに、アンラーニングのやり方なんて、詳しく学んでいる人の方が圧倒的に少ないわよね。」
と思った私です。

アンラーニング。つまり、固定観念を外すのに最も大切な事。
それは、「当たり前を疑う」ことです。

この「当たり前を疑う」ということ。
とても難しいと思いがちですが、実は、いとも簡単にできるやり方があるんです。
それは、全く異質な人たちと交流することです。

同じ価値観、同じ経験(体験)を持った仲間同士では、「やっぱりそうだよね~」となってしまい、現在の枠組みから飛び出す考えにはなかなかなりません。
しかし、異なる価値観、異なる経験(体験)を持った人たちの場合、「どうしてそれ必要なの?」「なくてもいいんじゃない?」「それ、おかしくない?」と自然に感じたり思ったりする分、「当たり前を疑う」ヒントをたくさん与えてくれるのです。
ここで大切なことは、「部外者だから、知らないから、そんなこと言って!」と考えないことです。
「へ~。部外の人からはそう見えるんだぁ。」と、自分自身も一歩引いて物事を見てみる、そんなスタンスになることです。

かつて、某自動車メーカーさんの業務改革のお手伝いをさせていただいた時のことです。
外部の私から見ると、どう考えてもその報告経路とか日常のミーティングとか、「それ必要?」と思うことが山盛りでした。
そこで、「それって、必要ですか?」と質問したところ、「尾藤さんは業界の人間じゃないから分からないんですよ。」とピシャリ!と頭ごなしに言われてしまいました。
それじゃあ、改革できんがな・・・
と思い苦笑いした私ですが、チームの最年少のメンバーさんが
「僕も、それ、いらないんじゃないかって、前々から思っていたんです。例えば・・・」
と勇気をもって発言してくれました。
最初は、「お前、バカじゃないか?」という表情で聞いていた先輩達も、「なるほどね~」と一人、また一人と変わっていったことをよく覚えています。
「部外者だから」「新人だから」と誰が言ったかではなく、「それってどうなの?」という問いかけそのものに真摯に向き合うことが一番大切なのですね。

そう考えると、異業種交流会とか、他部署とのミーティングとかも、ただ会ってペチャクチャ話をするだけでなく、より良いアンラーニングの機会と捉えて過ごすと、とても意義深い時間になりますね。
一つの職場でも、多様性が担保されており、言いたいことを言えるチームであれば、自然にアンラーニングは起きやすくなるでしょう。
もちろん、アクションラーニングなどの手法を使って頭をリフレッシュさせるのも一手です。

私はよく友人に、「ねえねえ、ちょっと意見聞かせて~」と質問します。
「え?全然専門外でわかんないよ。」と腰引き気味の彼女に、「だからいいのよ!」と純粋な考えをもらうのです。
それこそが、まさにアンラーニングのきっかけとなります。
いつもいつも、「仲間」と話すばかりがベストとは限らないということですね。

人が成長し続けられるかどうか、組織が成長し続けられるかどうかは、このアンラーニングがしっかりとできるかどうかにかかっていると言っても過言ではないでしょう、

あなたはアンラーニング、できていますか?
あなたのチームはアンラーニング、できていますか?

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