随分前の事になりますが、前年から引き続きご要望を頂いたお客様にプログラムのご提案をしたところ、次のような言葉を頂きました。
「『ディスカッション』とか『対話』とかは昨年やったので、体験ゲームみたいにインパクトのあるもう少し別の手法をお願いします。」
当日勤めていた会社では体験ゲームがウリだったのですが、インパクトが非常に強く、体験されたお客様にはとても好評でした。
しかし、ゲームから受けるインパクトが大切なのではなく、そこから何を気づき学んだか、それをより深めていくためにはディスカッションや対話はとても大切ですし、学び合う仲間の関係性構築や新たな発見や気づきのためにもディスカッションを重要視していました。
ところが残念なことに、ゲームのインパクトが強すぎるためにディスカッションや対話ではなく、同様にイベント的な手法を求められるお客様が多くいらっしゃったのです。
なぜディスカッションが大切か、インパクトではなくじわじわじっくり自分で気づいていく必要性や対話の重要性を丁寧にご説明しました。
しかし私の力不足なのか、お客様には納得していただくことがどうしてもかないません。
「もっと他の方法あるでしょ?どんな手法があるかリストアップしてよ。」
とご立腹になられてしまいました。
致し方なく上司であった社長と相談の上、とても残念なことですが、ご依頼いただいたお仕事をご辞退したのでした。
頭をガツンと殴られたような衝撃。
確かにその一瞬のインパクトはとても強いものがあるでしょう。
「目からウロコだ!」と嬉しくなるかもしれません。
しかしガツンときたものはすぐに冷めてしまうものです。
そうではなく、じわじわじっくりと気づかないうちにしみ込んでいくものは奥深くまで行き渡り、実はそういうものの方が遥かに深い気づきや学びとなるのです。
「あぢっ」と手を引っ込めてしまう一瞬のやけどよりも低温やけどの方が皮膚の奥深くに熱が通るのと同じです。
人材育成や組織開発にインパクトやイベントは必要ありません。
華やかな打ち上げ花火を上げて人や組織が簡単に良くなることはないのです。
人の育成も組織開発(=組織発達)も「じっくりじわじわ」こそが王道です。
「ディスカッション」や「対話」はとても地味で、大きな効果を上げるとは思えないかもしれません。
しかしそれは、「正しく適切なディスカッション」「正しく適切な対話」ができていないからではないでしょうか。
ディスカッションや対話の力は実に偉大です。
ディスカッションや対話の力を今一度、見直してみませんか。
あなたのチームは、あなたはメンバーと、ディスカッションや対話から何を得ることができていますか?
更に効果的なディスカッションや対話を行うためには、どんな工夫があれば良いと考えますか?