Sさんの会社が利用しているシステム会社の担当がMさんから新しくKさんに変わりました。
Mさんをとても気にいっていたSさんですが、Sさん側の利用システムが変わったことによる担当変更なので仕方がありません。
挨拶に来たいとKさんから電話があった時、SさんはKさんに対して何とも言えない不安感を感じたのですが、新しいKさんにも頑張ってもらおうと気持ちを切り替えました。
会ってすぐにSさんの不安が正しかったことが証明されてしまいました。
SさんとKさんは、まったくテンポが合わないのです。
一を言えば二も三も対応してくれたMさん。痒いところに手が届き、こちらのペースに配慮して物事を進めてくれる、Sさんにとっては理想の担当さんでした。
ところがKさんは、一を言っても一どころか話が通じないことがあるばかりか、Kさんのペースでしか物事を進めてくれません。
しかもそれは、Sさんにとっては物凄くスローペース。
このままではお互いにやりづらい。
そう思ったSさんはMさんとKさんの上司Tさんに電話をしました。
「すみません。どうも私は短気なもので、Kさんに強く言ってしまってKさんに嫌な思いをさせてしまうのではと感じているんです。わがまま言って本当に申し訳ないのですが、担当を別の方に変えていただくことは可能ですか?」
とにかくKさんの悪口や文句は言うまい。
そう心に決めて連絡したSさんですが、Tさんから何があったのかと何度も質問をされ、Sさんは事実のみを伝えることにしました。
アポに遅れてきたこと。
約束の日時の電話連絡がなかったこと。
2度念押ししてお願いしたことを「それはやっていません」と答えたこと。
説明がとても分かりづらいこと。
そして最後に、自分はせっかちなので、合理的かつスピーディな人との相性が良いように思う、と。
「連絡をくださって教えていただいて本当にありがとうございます。契約解除ではなく担当者変更をお申し出くださり、心から感謝いたします。」
Tさんの言葉に苦笑いしたSさんでした。
実は契約解除も考えたのでした。
けれどもそれではこれまで本当によく担当してくれたMさんに申し訳ないと思い、解除ではなく変更にしたSさん。
そのことをTさんに伝えたところ、暫くしてMさんから電話が入りました。
「私の引継ぎと新しい担当選考が悪くてご迷惑をおかけして本当に申し訳ありませんでした。事実をお知らせ頂き、ありがとうございました。」
Mさんは何も悪くないのですがTさん同様、Mさんもそれは丁寧に対応してくれ、新しい担当者Yさんをアサインしてくれました。
「以前の自分だったらキツイ文句の言葉に怒りとイライラを添えて、実に不機嫌にクレームをしていたと思う。けれど、今回はそれはすまいと心に決めて、伝え方を工夫した。Kさんを傷つけてしまったかもしれないけど、MさんとTさんの対応に救われた。相手側に不手際があったとしても、決して相手を責めない。本当にこれって大切なんだな。」
Kさんとの一件を自身の気づきと学びに変えたSさん。
ほんの一時、Kさんとのやり取りにストレスを感じたものの、「すべての出来事には意味がある」を実感したようでした。