「嬉しい」「悲しい」「悔しい」「楽しい」などの感情は人によってその程度は様々です。
同じ状況に居合わせて「すっごく楽しい!」とAさんBさんの二人が同様に言ったとしても、Aさんの「すっごく」とBさんの「すっごく」は程度が違うことがあります。
同じように、「熱い」「寒い「痛い」「キツイ」などの感覚も人によって異なります。
つまり、同じ表現・形容詞を使ったとしても人によって異なるわけですから、言葉を発した側と受け取る側が全く同じ意味合いで理解するかは別問題ということです。
では、人によって異なる感情・感覚を同じ物差しで測るにはどうしたら良いのでしょう?
そう!「物差しで測れば」いいのです。
「今回のプロジェクト、僕にはすごく難しくって・・・」
「楽勝左団扇が10点満点だったら、何点くらい?」
「3点くらいかなぁ」
「いやぁ、今回の受注はホント、嬉しかったよ!」
「喜び度マックス10点満点だったら、何点くらい?」
「8点かな。昨年のX社の時にはかなわないかな」
こんな具合です。
「すごく!」とか「めっちゃ」などの形容詞は人によって使い方が異なるため、共通の尺度にはなりません。
しかし、「10点満点で何点?」と数値化することによって、共通の物差しができるわけです。
これだと、双方の理解の齟齬もなくなるというものです。
これらは病院の問診などでもよく使われていますね。
「痛みの度合いを0から10の間で、辛くて我慢できないを10だとしたら、今、いくつくらいですか?」
といった具合にです。
私の父は「痛くて辛くてたまらない」と弱音を度々吐きますが、
「今、数字いくつ?」と尋ねると
「5!」
「え? 5なの? 10じゃないのね?」
「うん。5!」との答えに
主治医の先生と顔を見合わせて苦笑いすることがよくあります。
ロジカルに物事を説明できる人ならば、このような方法は不必要かもしれません。
しかし、人間は感情の生き物。
その相手の感情を理解・共有したいと思う時、自分の尺度で勝手に判断するのではなく、相手の尺度でできるだけ正しく理解することは、その後のコミュニケーションや行動に大きな影響を与えます。
「すっごく!」と言われて
「すっごくね」と自分の尺度に置き換えるのではなく
「マックス10点で何点?」
と確認することで共通の理解に近づくというものです。
特に私のように右脳先行型で感覚的表現が多いタイプの場合、数値化して伝えるということは私にとっても相手にとっても、互いのメリットになり得ます。
感情や感覚を数値化する。
仕事でもプライベートでも、大人でも子供でも、簡単に使えるこの方法。
是非、お試しください。
こぼれ話:
仕事を終えての帰り道。あまりにもの空腹に、「だめだ~。お腹すきすぎて、満タン10リットルで、残量0.5しかない~」と電車の中で呟く私に、「そんなに空いてんの?可哀想に。」と美味しいお菓子をバッグからそっと出して手渡してくれた友人。
「ガス欠なったら困るもんね」と苦笑いの彼女。
私の右脳コミュニケーションを理解しようといつも努めてくれている左脳の友人に感謝です。