マネジメント・リーダーシップ

水屋あっての茶席の亭主

昨秋から習い始めた裏千家のお稽古も今月で一区切りを迎え、いよいよ茶会を開くお稽古に入りました。

茶会では亭主、半島(はんとう・亭主のサポート役)、水屋周りの役割があります。亭主、半島はお客様に相対しておもてなしを行いますが、水屋の仕事はいわゆる御勝手仕事。裏方に当たります。

7人の生徒が亭主、半島、水屋、客の役割に分かれお稽古を始めたのですが、最初に私は水屋を担当しました。

すると先生がおっしゃったのです。

 

「亭主、半島は始まる前にちゃんと座ってお扇子を前に、水屋の方に『よろしくお願いします』と礼をしてくださいね。そして終わったらまた、水屋に『ありがとうございました』と御礼を言ってください。」

私は不思議に思って質問をしました。

「亭主、半島の方が水屋より立場は上なのに、水屋からのご挨拶ではなく亭主、半島からなのですか?水屋がご挨拶を受けるのですか?水屋はお扇子を前に置かなくていいのですか?」

 

すると先生がおっしゃいました。

「どんなに立派な先生が亭主や半島を務めようとも、お茶会というのは決して一人では開くことはできません。水屋がお菓子の用意やお茶碗の準備など、きめ細かく裏方の仕事に徹してくれて初めて茶会が成り立つんです。水屋あっての亭主、半島なんです。茶会を開く一門の亭主・半島・水屋は1つのチームなんですよ。チームワークが悪ければ、どんな高名な茶人であったとしても、お客様が心穏やかに過ごすことができる茶席を設けることはできないんです。だから、亭主と半島は、お客様と相対している自分たちを支えてくれている水屋に対して、自ら頭を下げて『よろしくお願いします』と言い、茶会が終った後は、その働きに対して『ありがとうございました』と心からの礼をもって頭を下げるのですよ。」

 

茶会のお稽古でチームにおけるリーダーのあり方を改めて学び、また、先生がいつも水屋仕事を行っている生徒さんに対してとても礼節をもって接していらっしゃる理由が改めて分かりました。

水屋あっての亭主であるように、メンバーあってのリーダー、マネージャーなのです。

当たり前のことなのですが、ついつい忘れてしまいがち。

週一回の茶道のお稽古は、いつも大切なことを思い出させてくれる貴重な時間です。

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