師の手書きによるメッセージが毎月の教えと心にささるカレンダー。
9月のメッセージは
「順調な時が一番難しい 傲りの神がワナを仕掛ける」
でした。
奢っているつもりは無いのですが、ちょっと調子に乗ってしまったり、注意力や配慮に欠けてしまったり。
つまりは「ちゃんとできていない」状態に知らず知らずのうちに人は陥ってしまうのですから本当に厄介なものです。
数年前から応援している某放送局のベテラン女性。
一生懸命努力に努力を重ねて今の地位を築き上げ、私も応援し続けた甲斐があったものだと喜んでいました。
ところがこの数か月、どうも彼女の言動に謙虚さが見られなくなってきたのです。
もともとが自分に自信を持てないタイプで自分の事を卑下しがちでしたので、最初、多少の事には私も「お!この頃、だいぶ言うようになってきた」くらいに思っていました。
しかし、それが度を越してきたように感じられ、ある時、セッションの途中で彼女に私が感じたままを告げたのです。
「今の成功は本当に素晴らしい!けれども前のような思いやりやいたわり、優しさが少し感じられなくなってきたように思うんだけど・・・。自信を持つことと謙虚であることは共存できると思うけど、どうなんだろうね。」
黙って私の話を聞いていた彼女ですが、翌日連絡があり、ずっと続けてきたセッション契約の終了を告げられました。
それから暫くして、彼女から突然連絡がありました。
「今まで築いてきたものを失ってしまった。降格になって、大きな番組の担当を外された。目立った失敗はしていないのに何故だか理解できずにとても混乱している。」
涙ながらにそう訴える彼女。
私には、彼女の謙虚さや周囲への配慮を欠いた、まさしく傲りに満ちたその振る舞いが、大失敗以上に彼女の大きなマイナス要因となり、結果として今を迎えてしまったのだろうことが容易に想像できました。
「傲りの神のワナにかかっちゃったんだね。」
私の言葉に、ただ黙って頷く彼女。
これまで築いてきた全てを失って、ようやく一番大切なことに気がついたようです。
「気がつけて良かったです。このまま気がつかないで進んでいたら、やり直しのきかないところで奈落の底に落ちてしまったかもしれません。また、築き直せばいい。いくらだってやり直せる。いい経験できたんだから、また前を向いて頑張ります。」
もともとは素直で謙虚で誰よりも努力家の彼女。
再び彼女の応援をさせてもらうことになった私は、私にも再度のチャンスを与えられたことを天に感謝しました。
順調な時が 一番難しい。 傲りの神が ワナを仕掛ける。