「査定」「評価」「考課」など、言い方は色々ですがマネージャーになるとメンバーの昇級昇進に関わる大切な役割を担います。
考えてみると、この人事考課(私が勤めていた会社ではこう言っていたので、ここではこの言い方で統一します)が私にとっては曲者でした。
「〇〇がこれくらいできる」という視点ではなく、「△△ができない」「××はこれしかできない」という減点法が徹底的に身についてしまったのです。
いえ、人事考課のせいにするつもりは全くなく、もともと持ち合わせている減点主義に拍車がかかったと言った方が正しいかもしれません。
もともとベースで持ち合わせていた減点主義の考え方に、「半期に一度は査定をしなければいけない」という意識から、常にメンバーの「できないところ」を探すことが習慣づいてしまったのでした。
メンバーに対してだけでなく、いつの間にか日常の全てが減点主義になっていました。
すっかりしみついてしまった減点主義を加点思考に切り替えるのは簡単ではありませんでした。
もともと子供のころから自分自身に対してもマイナス思考が強かったため、ある意味、自分の考え方、物事の捉え方を180度変える必要があったのです。
ただ唯一、減点主義にならない対象がありました。
愛犬マリオ(先代犬)とゆうたに対してです。周囲が何と言おうとも、成長やしつけの覚えが他のワンコよりも遅かったとしても、私の目には2人(犬)の「できること」にしか目がいかず、「できないこと」や「ネガティブなこと」はあまり気にならなかったのです。
なぜだろう・・・。なぜ、マリオとゆうただけは加点思考になれるんだろう・・・。
他の人たちにもこんな風に考えることが出来れば、私自身のストレスがなくなり、どんなに気持ちが楽になるだろう・・・・
そう考え、自分なりに徹底的に分析してみました。なぜなのか。
考えて考えて、ようやく分かったことがあります。
可愛いとか愛しいとか大切とか、そんなことではありません。
彼らに対しては間違いなく存在し、他の人に対してよりも大きな思い。
それは「感謝」でした。
存在そのものに感謝し、できるようになったことに感謝し、私に笑顔を届けてくれることに感謝し、とにかく彼らとのベースには大きな感謝が存在しました。実際、彼らとの毎日は「ありがとうね」と笑顔で話しかけることで溢れています。
「いい子でお留守番、ありがとうね。」「甘えん坊してくれてありがとうね。」「おしっこ上手にできたね。ありがとうね。」「一緒にいてくれてありがとうね。」
一方、他の人たちはマリオやゆうたほどに感謝しておらず、「当たり前」がありました。
マリオやゆうたに対して「当たり前」は微塵もありません。
「ペットと人間を比べるな!」と言われそうですが、相手に対しての加点思考と減点思考の根本には「当たり前」が存在しているか否かがあると思うのです。
このことに気がつき、メンバーがいてくれることへの感謝、元気でいてくれることへの感謝、笑顔で働いてくれている事への感謝など、相手への「感謝」を育てていくと、不思議と減点主義は影を潜め、いつの間にか良いところばかりが見えてきて、自然に加点主義に変わっていったのでした。
査定や評価、考課はマネージャーの当たり前の役割かもしれません。
しかし、メンバーがいてくれるから査定をさせてもらえる。メンバーが居てくれるからそんな大切な役割を担わせてもらい、マネージャー自身の人としての成長の勉強をさせてもらっている。
そんな風に考えると、査定をさせてもらえる事に感謝こそすれ、減点主義で相手にダメ出しすることなど到底できるはずもありません。
加点主義に切り替わった思考は、ベースが感謝でできているので、周囲にも自然と良い影響を与え、チームの雰囲気にも大きなプラスの効果を与えました。
どうしてもメンバーの「できないこと」や「ダメなこと」に目がいってしまうあなた。
当たり前はひとつもありません。
「感謝」の妙薬をあなたも試してみませんか?