マネジメント・リーダーシップ誰だって変わることができる

褒めて伸びるか? 叱られて伸びるか?単純な二分論では語れない、リーダーの「承認と信頼」の土台

人は大きく分けて、「褒められて伸びるタイプ」と「叱られた反骨精神で伸びるタイプ」があると言われます。

この見極めを誤ると、メンバーの成長を阻害するどころか、潰しかねません。
もちろんリーダー(上司)であるあなたへの心からの信頼も得られません。

「役割」と「信頼」が火をつけた西条さんの事例

近頃昇進し、俄然やる気になっていたのは西条さん(仮称)。

多くの人が「アイツはふさわしくない」という中、直属の課長と、その上の部長が強く推薦し、昇進が叶いました。
それまではネガティブ発言が多く、後輩たちの評判も今ひとつだった西条さんですが、彼はこう決意を新たにしました。

「反対されたけど、強く推してもらった。もう、仮面を被っている場合じゃない。二人に報いるためにも全身全霊をかけて職責を果たそう」

西条さんをやる気にさせたのは、単に上司が強く推して昇進できたからではなく、日頃から西条さんの小さな変化を見逃さず、ポジティブフィードバックを行いながらも、改善点をきちんと伝え続けた上司である課長の高松さん(仮称)への信頼です。
高松さんの信頼に応えたいと思い、さらには、高松さんの言葉を信じて西条さんを押した部長の清川さん(仮称)に応えたいと思ったからです。

上司への信頼がメンバーのやる気に火をつけたのです。

西条さんはポジションで育つタイプだと見極め、彼の特徴に合った育成を心掛けた高松さんの勝利です。

「反骨精神タイプ」を迷走から救ったのも「承認」

では、反骨精神で育つタイプには「承認」は不要でしょうか?

高松さんは、どちらかというと反骨精神で育つタイプと見られていましたが、以前の上司から厳しいフィードバックが続き、一時期、自分に自信を失い、迷走していた時期がありました。

清川さんが高松さんの上司になった時、清川さんは「否定ばかりでなく、少しでも認めてほしい」という高松さんの気持ちを理解し、自分の後継は高松さんしかいないと、期待を寄せ励まし続けました。

これらの経験から高松さんは、反骨精神で育つタイプであっても、信頼に基づく承認の土台がなくては、力を発揮できないことを身をもって理解し、それを西条さんに対して実践したのです。

「甘やかし」ではない、リーダーの責務

「褒めるとつけあがる」「甘やかすのはよくない」

このように考える人を時折見かけますが、これはリーダーの視点として間違った考え方です。

いつまでたっても認めてもらえない。いつもいつも否定される。
これでは、反骨精神で伸びる人でも心が折れてしまいます。

  • 自己承認が低い人は、他者から認められることで、自信を持つきっかけが生まれます。
  • 自己評価が高い人が、認めてもらえなさすぎると、上司への不信不満に変わり、反骨精神は「負けず嫌い」ではなく「上司への反発」という形で現れます。

上司は自分の尺度でメンバーを測るのではなく、メンバーの個性を正しく見極め、メンバーが正しく成長できるために自分の考え方や言動をコントロールしなければなりません。

「褒めるか、叱るか」は手段に過ぎません。
その根本にある「この人は、自分を信じて、期待し、認めてくれている」という信頼こそが、あらゆるタイプのメンバーの成長を加速させるエネルギーとなります。

あなたのチームのメンバーは、今、あなたの言動に何を求めているでしょうか。



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