数字ほど客観的かつ明確に語る指標はありません。
「このやり方の方が効率が悪い気がする」
と感覚的に言われるよりも、
「このやり方だと生産性が10%落ちる」
と数字で言われた方が、誰もが共通の理解に至ります。
言うまでもなく、数字は優秀です。
しかしだからと言って、数字だけで物事を押し通すのは違います。
なぜなら数字は「机上の理論」だけで算出されたものも多くあります。
人の感情が与える影響までを考慮して算出された数字でなければ、
あくまでも理屈にすぎず、現実とは大きく異なるからです。
「今まで2人体制でやっていたその仕事、
今の所要時間から考えると1人でもできるはずだから、
来月からAさん1人でやってください。
Bさんは別の仕事をしてください。
そうすることでチームの生産性がもっと上がります。」
これはあくまでも「計算上」のお話です。
複数の事に気を遣うのではなく1つのことに集中できるので効率が上がる。
2人で行うことで互いの苦手をフォローでき、無駄な時間が生じない。
チェックし合えることでミスを防げる安心感がある。
(青字部分が影響を与える感情部分です。)
こんな風に、2人で分業していたからこそ得られたメリットがあるからです。
(単に2人でダラダラと楽をしていたというなら話は別ですが)
その場合、1人で行うことで、これらのプラス効果を得られない可能性は大です。
1人で行う時に生じる「ロス」をも含んでの数字なら良いですが、
そうではなく、あくまでも机上の計算の場合、これらのロスにより効果が異なってきます。
いきなり数字を突き付けられると、多くの場合は感覚で反論します。
却って面倒になって混乱する。
フォローし合えないからミスが増える。
苦手分野もあるから時間がかかる。
これらは事実に違いありません。
しかし感覚的物言いなので、残念ながら。数字に対する反論の根拠となり得ません。
数字には数字で反論するしかありません。
実際に1人で取組んでみて、どれだけのロスが生じるのか、数字を根拠に示すのです。
1人で行った結果、想定所要時間の1.5倍かかった。
1人業務になれることで1.2倍にまで減らせる可能性はある。
1人業務の場合、想定所要時間内で終わらせる言葉難しく、
残業が今より月間20時間ほど増える見込みとなる。
という風にです。
これらは実際に取り組んでみなければ算出できない事なので、
「やってみる」ことそのものに抵抗を覚えるかもしれません。
しかし、改善や改革を行うならば、
「やってみる」まずスタンスは何よりも必要です。
理論を押しつけられたことに反発するのではなく、
理論には理論を持って反論できるよう、数字の根拠を手に入れましょう。
人は感情の生き物なので、理屈(数字)だけで割り切って動くことはできません。
一方、理論(数字)は客観的にモノを言うには最適です。
どちらかだけに偏るのではなく、
理論をベースとしながらも、感情を無視することなく、
誰もが分かる客観的指標(数字)で判断し進めていくことが大切です。
つまり、理論と感情の両利きで進めていく事こそが最善なのです。