「心理的安全性があるとチームが緩むんじゃないか?」
こんな疑問を抱いている方も多いかもしれません。
特に、管理職の方からは、「心理的安全性が重要なのはわかるけど、チームがダラダラしたり、上下関係が崩れるのは困る」という声をよく耳にします。
しかし、それは大きな誤解です。
心理的安全性は、むしろチームを引き締め、より高い成果を生み出すために欠かせないものです。
1. 心理的安全性とは「自由」だが「無秩序」ではない
心理的安全性のある職場では、誰もが意見を自由に言える環境が整っています。
しかし、これは「好き勝手に発言していい」という意味ではありません。
むしろ、反対意見や異なる視点が歓迎されることで、建設的な議論が生まれます。
たとえば、会議中に「それは違うと思います」と反論できる環境では、アイデアの質が向上します。
反対意見を言うためには信頼関係が必要です。
これがない職場では、表面上の同意(いわゆるイエスマン状態)が横行し、結果的にチームが弱体化してしまいます。
2. ミスを恐れず挑戦できる環境
心理的安全性がある職場では、失敗を責めるのではなく、それを「学び」に変える文化があります。
この環境が整っているからこそ、メンバーは新しい挑戦を恐れず、結果的にイノベーションや改善が生まれます。
一方で、「失敗すると怒られる」という職場では、誰もリスクを取らず、現状維持にとどまってしまいます。
これこそが、組織の成長を妨げる「本当の緩さ」です。
3. 「なあなあ」ではなく「相互支援」が根幹
心理的安全性のあるチームでは、メンバー同士が互いを尊重し、協力し合う文化が根付いています。
これは「なあなあの関係」とは大きく異なり、むしろ厳しい指摘やフィードバックも行われます。
たとえば、Aさんが失敗したとき、Bさんが「それはちょっと甘かったんじゃない?」と指摘するのは心理的安全性の表れです。
ただし、その指摘が人格否定ではなく、Aさんの成長を促すものであることが前提です。
4. 「上下関係」を越えた対話が可能になる
心理的安全性の高い職場では、上下関係を超えたフラットな対話が行われます。
部下が上司に意見を述べたり、逆に上司が部下からフィードバックを受けることも珍しくありません。
私自身、若い頃に課長に対して、「私は課長とは意見が違います!」と生意気に意見を述べたことがあります。
それでも課長は感情的にならず、私の話を真剣に聞いてくれました。
この経験が、私がさらに挑戦するきっかけとなりました。
5. 耳に痛い意見も受け入れられる職場
心理的安全性がある職場では、耳に痛い意見も受け入れられる雰囲気があります。
これは、個人が攻撃されているのではなく、意見が改善のために出されているという信頼関係があるからです。
こうした職場では、たとえ厳しいフィードバックであっても、「この人は自分のためを思って言ってくれている」という前提が共有されているため、素直に受け入れることができます。
結果として、メンバー全員がより成長し、チームの成果も上がるのです。
心理的安全性を職場に導入するための3つのステップ
心理的安全性を高めるための具体的なステップを以下に紹介します。
- 部下の意見に耳を傾ける
1on1ミーティングなどで、部下に本音を言いやすい質問をしてみましょう。
たとえば、「最近、不安に思っていることは何?」など。 - 失敗を責めず、学びを促す
部下がミスをしたときは、何が学べたかを一緒に考える姿勢を見せましょう。 - フィードバックを通じて信頼関係を築く
良い点も悪い点も率直に伝えることを心がけ、互いに信頼できる環境を作りましょう。
心理的安全性のある職場を作るのは、管理職であるあなたのリーダーシップがカギとなります。
まずは小さな一歩から始めてみてください。
心理的安全性は、チームを引き締め、成果を生むために不可欠な要素です。
心理的安全性のあるチームは「大人のチーム」
「緩さ」を懸念するのは、「心理的安全性=甘さ」という誤解から来ています。
実際には、心理的安全性のある職場ほど、大人としての責任感を持ちながら、お互いを尊重し、厳しい意見交換ができる場です。
あなたのチームは「大人のチーム」ですか?
それともまだ「お子ちゃまチーム」の段階ですか?
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