マネジメント・リーダーシップ誰だって変わることができる

他者の動機づけ

「うちのリーダークラスは他者の動機づけがどうも上手くできないんですよね。まあ、自分が上司からそうされてないから分からないというところなんでしょうけど。」

人材開発のご担当者様からこんなお話を伺いました。
よくあるお話です。リーダークラスと言わずとも、勝手に自分で自分にムチ打って頑張れる人ほど、他人を動機づけることはうまくないかもしれません。
そもそも、他人から動機づけられることがおかしい。動機づけ=モチベーションは自分でコントロールするもので人から上げてもらうものではないでしょう?!
こんな風に思っているかもしれません。

何を隠そう、私は完全にそう思っていました。
ですからリーダーと呼ばれていたまだ若くてイケイケの生意気の塊だった頃、当時の上司から「もうちょっとグループのメンバーのモチベーション上げてやれ」と言われて、「何言ってんだろう?この課長は?」と思ったものでした。
「自分で自分のモチベーションコントロールできないメンバーなんて、うちのグループにいらないわ!」くらいに考えていたのですから、本当に今振り返ってみると、穴があったら入りたいほどにどうしようもないダメダメリーダーだったと思います。

他者の動機づけ。
モチベーションは自分でコントロールするものと思っている人間にとって、そんなことをいきなり言われてもとてつもない難題に感じたものです。
しかし、実はそんなに大変な事ではないのです。

① 相手の存在を受け入れる
② 相手の話をちゃんと聴く
③ 相手を信じる

この3つをしっかりしていれば良いのです。
「え~ これくらいじゃあ、うちのメンバーのモチベーションは上がりません!」というあなた。
それは、「ちゃんと」できていないのだと思います。

この3つに共通して大切なことは「人として」ということです。
人としての存在を受け入れる。人として話を真っ新な状態で真摯に効く耳を持つ。人としての相手を信じる。
どうでしょう? 「ちゃんと」できていますか?

たった3つのこと。ですが、「ちゃんと」するには奥が深い。意外にも難しい。しかし、できる人は簡単にできるのです。
なぜか?
それは上司とかリーダーとかの立場に関係なく、一人の人間対人間として相手と接している人は、いとも簡単に①~③ができるのです。
部下としての成績評価をした目で相手を見るのか、一人の人間として見るのとでは、気づかずして色眼鏡をかけているか否かほどに違いがあるでしょう。

遠い昔、まだ新入社員だった時に、とんだとばっちりでお客様からの大クレームの原因が私にあると周囲から疑われたことがありました。
どんなに説明しても周囲には分かってもらえない。
「もういいよ。私のせいにして。勝手にして。」
そんな風に半ば投げやりに諦めかけた時、一人の先輩が声をかけてくれました。
「僕は君を信じるよ。」
すると同期の男性社員も言ってくれました。
「俺も信じるよ。細かいことは分からないけど、お前は責任逃れするタイプじゃないもんな。」
社内で自分の居場所がもうないように感じ、消えてしまいたい思いがしていた私にとって、二人の「信じる」の言葉は、「私がここに存在していいんだ」と思わせてくれ、前を向く勇気を与えてくれました。お陰で犯人探しではなくお客様へのクレーム対応に真正面から対応することができ、結果的に、自身の潔白もお客様によって証明されることなりました
仕事はまだまだ半人前以下、ほとんど何もできない私でしたが、「信じる」と言ってもらえたことで勇気100倍、元気100倍になったことを今でもよく覚えています。

他者の動機づけ。
意外にもシンプルな三要素。人によってはいとも簡単にやってのけ、人によっては物凄く苦戦する。
それはあなたが相手をどう見ているか次第なのです。
もしメンバーを動機づけることが上手くいかないんだというあなたは、あなた自身がメンバーを見る目を一旦、真っ新にしてみてはどうでしょうか。きっとそこから新たな何かが始まるに違いありません。

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