人間力経営幹部育成

誰を大切にするかが、組織の未来を決めていく

あるネットニュースで「いまどき、いちいち返信がないのは当たり前」という記事を目にした。
ITやAIの発展により、効率化が一段と促進され、
「必要な事」だけが厳選されるのがスマートなのだという。

しかし私は、その内容に違和感を覚えた。


お客様には「確認しました」「一両日中にご回答いたします」と丁寧に返事をする。
しかし、社内メンバーからの報連相や提案には、返事をしない人がいる。
「ちゃんと見ている」が彼らの言い分だが、発信側の気持ちを慮る心がそこには感じられない。

「ありがとう」「助かったよ」「受け取ったよ。あとで確認するね。」
たった一言で、相手は安心し、納得する。
しかし残念ながら、ポジションパワーが劣る相手には、その一言さえ惜しむ人もいる。
そのわずかの行動を取らないことが、
相手に対して「あなたの存在を重要ではない」という無意識のメッセージなっていることを
彼らは意外と気づいていない。

お客様や上司に対してだけ礼儀正しく、ポジションパワーが劣る相手には無反応。
それは、メッキのような対応だ。

本当に人を大切にできる人は、相手の立場に関係なく、誠実に接する人だ。
利害関係によって態度を変える。
それは、いずれどこかで剥がれる仮面でしかない。

NHK大河ドラマ『べらぼう』で印象的なシーンがあった。
平賀源内が、田沼意次にこう進言したのだ。

「城の修繕は後でいい。
先にやるべきは、橋や川などの城下の整備だ。
領民のために尽くすことは、必ず城(=領主・意次)に返ってくる。」

まず大切にすべきは、自分を支えてくれている人たちである。
この考え方は、時代を超えて不変だと思う。

どれだけテクノロジーが進化しても、仕組みが整っても、
「人が人として大切にされている」と感じられる職場でなければ、
組織は本当には動かない。

マネージャーが、メンバーからのメールやチャットに「ありがとう」と返す。
経営層が、「見たよ。ご苦労さん」と伝える。
そのわずかな一言が、組織に温かな風を吹き込む。

技術が進化し、時代が変わっても、
人には感情があり、ぬくもりが人を支え、動かすという原理は変わらない。
効率化や合理化が叫ばれる時代だからこそ、
「人との関わり方」に組織の価値が宿り、それが組織の強みになっていくのだと思う。

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