先行きが不透明な時代において業績が急降下した時、「とにかく何とかしなければ!」と、管理職であれば誰もが思うところです。
例えばあなたが部門責任者だった場合、即効性・確実性・効果を優先して、原因分析、対策、実行計画までを全てあなたが行い、指示しますか?それとも多少のスピードの遅れはあるものの、部下育成の観点をどんな時にも忘れずに、今後の事も想定して、可能な限り部下を巻き込んで一緒に行いますか?
とにかく一刻を争う!時期を逃しては会社存続が危ぶまれる。などのギリギリの状態の場合、迷う余地はありません。
しかしやり方を間違えてしまうと、数字は上向いても一連の出来事による部下の成長は全くなされず、ただ、部門責任者が必死に頑張り、部下は作業者として作業をして疲弊しただけ、ということにもなりかねません。
これからの時代、ビジネスの舵取りはますます難しくなるでしょう。誰も予測不能な未知の時代に、既に私たちは突入しているからです。
それ故に、柔軟な思考やメンタルのタフさ、なんとしてでもやり切る役割へのコミットメントが一層必要です。
今を乗り切ることにただ必死で、その困難を乗り越える最も大変な部分を部下に経験させられないということは、育成のチャンスを逃すだけでなく、今後、ますます難しい問題が起こる未来への対応までも、あなたが背負うことになってしまう下地をあなた自身が作っているということに他ありません。
目先にとらわれて未来を見据える目を持たなければ、その瞬間を乗り越えることはできたとしても、来るべき未来がハッピーではないかもしれないということです。
業績回復は大切な事です。しかし、部下育成も同等、いえ、それ以上に大切な事かもしれません。二律背反の事態に見舞われたとしても、どちらも両立する最善の策を常に考え、今だけでなく、未来を見据えて今にこだわりたいものです。