戦略人事

SX戦略の本質は『人』にある- 伊藤レポート3.0が示す人的資本の未来

不確実性が高まる環境下において、SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)戦略が注目される中、環境・社会・ガバナンス(ESG)やDXといったキーワードが先行する一方、「人」の変容が戦略の成否を左右するという、最も本質である事柄が見過ごされているように感じています。

「伊藤レポート3.0」は、SX戦略の実行において人的資本が中心的な役割を果たすことを、明確に示しています。
本ブログでは、人的資本経営とSX戦略の接続について、経営の視点から考察してみます。

伊藤レポート3.0が示すSX戦略の本質

SX戦略とは、サステナビリティ(持続可能性)とトランスフォーメーション(変革)を統合した企業戦略であり、単なる環境対応やデジタル化ではなく、『企業の存在意義や価値創造のあり方そのものを問い直すもの』です。

この中で人的資本は、企業価値の源泉として位置づけられています。
財務情報だけでは測れない「人」の力を、戦略的に活用することが求められているのです。
すなわち、経営者には、財務中心の視点から脱却し、非財務情報を含む統合思考への転換が求められていると考えます。

人的資本がSX戦略に不可欠な理由

SX戦略の実行主体は、制度でも仕組みでもなく「人」です。
変革は、個々の意思決定と行動変容によって初めて実現されます。
つまり、トランスフォーメーションとは、組織の再設計であると同時に、人の再定義でもあると言えます。

また、サステナビリティの本質は「関係性の持続性」にあります。
ここでの関係性とは、「組織と個人」「個人同士」そして「組織と社会とのつながり」を言います。
心理的安全性やエンゲージメントはその一要素に過ぎず、より重要なのは、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)への共感と定着、組織風土の形成と維持、そして人事戦略が経営戦略と乖離していないことです。

人的資本経営は、財務・非財務の統合だけでなく、戦略・人材・組織の統合によって初めて機能します。
つまり、伊藤レポート3.0が示す「SX戦略=統合思考」の本質は、人材戦略の経営戦略化、すなわち戦略人事にあると言えます。

経営層・部門長が今すべきこと

SX戦略を実効性あるものにするために、経営層・部門長が取り組むべき優先事項は以下の3点です。

① 経営戦略と人材戦略の統合
CHROや人事部門との連携強化ではなく、経営陣自身が人材戦略を語れる状態をつくることが重要です。
経営会議に人材指標を組み込み、人的資本ROIなどの指標を経営KPIに接続することで、人的資本を戦略の中核に位置づけることができます。

② 組織開発・リーダー育成の再設計
SX戦略を担うリーダーの育成は、一過性の研修ではなく、継続的な組織開発プロセスとして設計する必要があります。
「変革を起こす人材」の定義を明確にし、それに基づいた育成体系の再構築が求められます。

③ MVVの再定義と浸透
MVVが形骸化していないかを問い直し、採用・評価・育成に一貫性を持たせる軸として再設計することが重要です。
MVVが組織の意思決定や行動の基盤となることで、関係性の持続性が担保されます。

未来への問いかけ

SX戦略を制度や報告義務で終わらせないためには、経営者が「人」に向き合う覚悟が問われています。
人的資本は、未来の競争力そのものです。
あなたの組織は、人的資本をどのように捉え、活かしているでしょうか?

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