「このスキルを身につけてほしい」
「もっと成果を出せるようになってほしい」
そんな思いから始まる研修設計は、決して間違いではありません。
しかし、スキルベースで設計された研修が、現場で期待された効果を発揮しない。
そんな経験はありませんか?
実は、研修が“空回り”してしまう背景には、設計段階でのある落とし穴が潜んでいます。
スキル起点の設計が陥るワナ
多くの企業で見られるのが、「このスキルが足りないから、研修で補おう」という発想です。
たとえば、2年目営業パーソン向けに「ヒアリング力を高める研修」を実施したとします。
しかし、実際の現場では「そもそも顧客とじっくり話す時間が取れない」「提案準備に追われて、面談の質が上がらない」といった声が上がることもあります。
このように、スキルだけを切り取って強化しようとすると、現場の実態と乖離し、研修が“独り歩き”してしまうのです。
ジョブ課題から逆算する
では、どうすれば研修が現場に根づくのでしょうか。
鍵は「ジョブ課題」からの逆算です。
まずは、対象者の業務プロセスを分解し、どこでつまずいているのかを丁寧に調査します。
営業職であれば、「リードの選定→アポイント取得→初回訪問→ニーズ把握と課題抽出→提案書作成とプレゼンテーション→クロージング→導入とフォローアップ」といった流れの中で、各フェーズにおける行動のギャップを明らかにします。
このとき重要なのは、「何ができていないか」ではなく、「なぜできていないのか」を掘り下げることです。
表面的な課題(ペイン)だけでなく、その背景にある真因(インサイト)を明らかにすることで、行動変容につながる研修設計が可能になります。
調査と分析の工夫
ペインとインサイトを把握するためには、定量と定性の両面からの調査が有効です。
アンケートで「苦手意識のある場面」を洗い出し、インタビューで「なぜそう感じるのか」を深掘りします。
さらに、上司や先輩の観察コメントを活用することで、本人の主観と客観のギャップを補正できます。
成功・失敗の両面から行動パターンを抽出することで、再現可能な行動モデルが見えてきます。
これが、研修テーマの精度を高める鍵となります。
効果検証は“プロセス”で見る
研修の効果を測る際、結果KPI(例:受注率)だけに頼ると、研修の影響を正しく捉えることができません。
むしろ、頻度・質・タイミングといった“プロセスKPI”を用いて、行動変容を可視化することが重要です。
また、事前・事後・追跡の三段階で評価を行うことで、研修直後の理解度だけでなく、3ヶ月後・6ヶ月後の持続的な変化も確認できます。
ピアラーニングやリフレクションの仕組みを取り入れることで、自律的な学びの文化を育てることも可能です。
研修は“届けたいスキル”ではなく、“現場の課題”から設計する
研修は、単なる知識やスキルの伝達ではなく、現場の課題を解決するための手段です。
だからこそ、「何を教えるか」ではなく、「なぜそれが必要なのか」「どのような行動変容を促したいのか」から設計を始めることが、成果につながる研修の第一歩です。
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