マネジメント・リーダーシップ

異動の季節に思うこと

以前、私が勤めていた会社では2月1日発令の人事異動は「民族大移動」と称される大きいもので、2週間前の内命日は皆そわそわと落ち着かず、営業の外出率も下がったりしたものです。
自分自身の異動発令を待ちわびている人もいれば、上司や仲間の状況に関心がある人もいます。
私が所属していた支店を例にとれば、当時は内命日の午後3時以降に順次、所属長から該当の本人に通達されることになっており、業務課から誰のデスクの内線電話が鳴るのか、皆、仕事そっちのけで気にしていたものでした。

それまで毎回毎回、異動の時期になるたびに自分は呼ばれなかったことに失望し、直属の上司はもちろん、所属長である支店長にも何度も直訴していました。今回も外れたとメンバーたちに愚痴ったり、先に異動していく同期に恨み節を呟いたりもしていました。
そしていよいよ、新入社員で配属された支店での勤務が14年目を終えようとしていた年の1月下旬、私のデスクの内線電話が鳴ったのでした。

今になって振返ってみると、当時の私は自分のことしか考えていませんでした。
グループリーダーという立場にありながら、「転勤したい!」と公言して憚りませんでした。5人いた私のグループのメンバーたちは、それをどんな気持ちで毎回聞いていたのだろうと、今となっては恥ずかしさでいっぱいです。
「早くいなくなってくれた方がいい。どこにでも転勤して。」と失望していたのか、「後に置いていく自分たちのことなんか、全く気にしてくれてないんだ・・・」と嘆いていたのか、「今の支店も本当に長いから、良いところに転勤できるといいな。」と応援してくれていたのかは全く分かりません。
いや、最後の応援じゃないだろうな・・・・。そんな風に思います。

リーダーであろうと人間ですから「異動したい」「ステップアップしたい」と思うのは当然ですし、ステップアップを夢見て今を頑張ることも当たり前です。
しかし、その気持ちをどう表現するかが問題です。
少なくとも、チームリーダーやマネージャーであるという事は、共に頑張っているメンバーが自分以外に一人以上いるということです。
ただ「転勤したい」「異動したい」だけでは、「この人、自分のことしか考えていないんだな・・・。僕たちのことなんか、どうでもいいんだな。」と思われても仕方がありません。捉えようによっては「今のココから脱出したい(ココが嫌)」「今以外のところへ行きたい」と聞こえてしまうかもしれません。その場合、他のメンバーからしてみると、何とも寂しいことに他ないのです。

あの頃の私は本当に未熟だったと、今の季節になると懐かしさ半分、恥ずかしさ半分の微妙な気持ちで当時を思い出します。
リーダーやマネージャーは、自分が今のポジションを去った後にも残してくメンバー(子供たち)がいるということを片時も決して忘れてはいけません。
そういうリーダーやマネージャーなら言葉に出さずとも、きっとメンバーの側から「僕たちが頑張ってリーダーのステップアップに貢献できるように頑張ろう!」と思ってくれることでしょう。

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