マネジメント・リーダーシップ誰だって変わることができる

暴言を吐いちゃったマネージャー

「すごい暴言吐いちゃって、昨日は一日、凹んでいたんです。」

私の顔を見るなりKさんは本当に落ち込んだ表情で言いました。
「誰に? Oさんに?」

OさんとはKさんが少しばかり手を焼いている年上のメンバーさん。
良い人なのですがとにかくミスが多いようで、気を利かせたつもりでとんでもない大失敗をやらかしたりと、Kさんは私の顔を見るたびにOさんについての困りごとを口にするほど、Oさんには困っているようでした。

「で、どんな暴言吐いちゃったの? 何があった?」

「何言ったかは言えません・・・。人格疑われると思うし・・・。」

「じゃあ、何があったの?」

「また余計なコトしてくれたんですよ。それがとんでもない事で、お客様の大クレームの原因になって。けど、そんなことOさんは知らないんで『してやった』くらいに得意気だったんで、もう、腹が立って腹が立って。」

「で、暴言吐いちゃったんだ。『余計なコトするな!』とか。」

「そうです・・・・・」

「『何にもしないんでいいんだ』とか?」

「そうです・・・」

「『この疫病神!』みたいに?」

「表現は違うけどそんな感じです・・・」

「『チームのお荷物でいない方がいい』みたいな?」

「・・・・。」

「はは。ビンゴだ。それで?」

「『だったら異動させればいいじゃないですか!』ってOさんも言い返してきて。頭にきて『できるもんだったらとっくにそうしてる!』って言っちゃったんです。」

「ははは。言っちゃったのね。それで?」

「『それで』って?」

「その後、どうしたの?」

「お互いに口きかないで、気まずいままです。」

「いつの話だっけ?」

「一昨日です。」

「じゃあ、丸々2日間、顔つき合わせているけどOさんとは喋ってないんだ。」

「はい・・・」

「Kさんはどう思っているの?」

「いや、言い過ぎたとは思うけどOさんも本当にいつもいつも余計な事ばっかりして仕事増やしてくれて。本当にもう!」

「いない方がいいの?」

「すごいストレスなんです。」

「Oさん、チームにいない方がいい?」

「・・・」

「Kさんが昨日一日凹んでいた理由は何?色々あるかもしれないけど、どうしてそんなに凹んでたの?」

「酷いコト言ったと思ってるので。」

「うん。Oさんが余計なコトしたかもしれないけど、Kさん自身が『酷いコト』言って、Oさんに対して申し訳なかった思ってるの?それとも、酷いコト言った自分が嫌だったの?」

「両方です。」

「Oさんには腹が立つけど、酷いコト言って悪かったとは思ってるのね。」

「はい。」

「謝ったの?」

「いいえ。」

「どうして?」

「だって・・・・」

「酷いこと言ったと思うなら、『ごめんなさい』は幼稚園の子でも当たり前だと思うんだけど。1日凹むくらいだったのに、謝らないのは、謝れないのはどうして?Oさんの行動と自分の暴言と、天秤にかけたらOさんの方が酷いから?」

「そんな風に考えませんけど。」

「Oさんにチームから外れてほしいのかどうかは別として、まだ暫くは一緒にやっていく仲間なんだよね。このまま気まずいままでいいんだったらいいけど、不穏な空気は他のメンバーにも伝染するよ。Kさんはどうしたいの?」

「Oさんに出て行ってほしいとは思っていません。腹が立つだけで。かつてはいろいろお世話になった先輩なので、今の不甲斐ない様子に腹が立つんです。けど、それとは別で、今回の暴言は人として言ってはいけないことを口にしてしまったんで、謝ろうと思います。」

「そうだよね。悪かったら『ごめんなさい』だよね。Oさんがどんな風か、また話聞かせて。」

Kさんは少し笑顔になって私との話を終えました。
マネージャーだろうが経営者だろうが、間違っていたと思ったら、悪かったと思ったら、素直に「ごめんなさい」と言えばいいだけのこと。
余計な見栄やプライドが邪魔して謝れないなんて、人として間違っていますよね。
「ごめんなさい」や「ありがとう」は人として心から発せられる言葉。そこに肩書や立場など全く関係ないのです。

ちなみにこのKさん。この件がきっかけで、Oさんとじっくりと向き合う事になり、Oさんのパフォーマンスが少しずつ良い方向へ変わり始めたのです。
それについてはまた明日。

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