マネジメント・リーダーシップ

どんなに疲れていても凹んでいても帰りたくなる職場

新入社員の頃、新宿高層ビル群のオフィスを上から下まで飛び込みセールスをして、それでも営業のきっかけを掴むどころか名刺を1枚しかいただくことができず、疲れと同時に激しく落ち込んでどうしようもなかった時。無知からきたミスで先輩から引き継いだ大切なお客様からひどくお叱りを受け、このまま失注してしまったらどうしようかと途方に暮れてしまった時。

そんな時、私は急いでオフィスへ帰りたいと思っていました。
なぜって・・・

正しくは「オフィスへ帰りたい」ではなく、リーダーのもとに帰りたい。メンターのもとに帰りたい。と思っていました。

リーダーやメンターは、私が大喜びしている時には一緒に大喜びしてくれます。
「良かったな」「頑張ったな」「よくやった!」「尾藤ちゃん、えらい!」
言葉はその時々によって異なりますが、そこには心からの応援と愛とが感じられました。

へこたれたり落ち込んだり、怒りやイライラの時にはどうだったか・・・

一緒に落ち込んでくれたわけでも、気にするなと励ましてくれたわけでも、考え方を変えろと前向きになるよう諭してくれたわけでもありません。
リーダーやメンターは、ただ黙って私の話を聞き、私の気持ちにそっと寄り添ってくれていたように思います。
「きっと大丈夫だよ」「ここでは何も飾らずに吐き出していいんだよ」「大丈夫、大丈夫。君は君で大丈夫。」
直接的な言葉はなくとも、そんな風に私には感じられたものです。その温かな空気に触れただけで、心が癒されたり疲れが和らいだりしたのです。

ですから、同期の仲間が「今日はもうへとへとだから直帰する。」というような時でも、私はオフィスへ戻り、リーダーやメンターの顔を見て一言二言の言葉を交わし、オフィスでエネルギー補給をしてから帰路についていたのです。

メンバーたちはオフィスを一歩出れば、会社の看板を背負って必死で頑張っています。
それは空母から発進した戦闘機さながら、それぞれの任務を背負って、皆、ある意味、闘っているのです。
戦闘機は必ず母艦へ戻ってきます。疲れ傷ついてしまったならなおのこと、必死で空母目指して帰ってくるのです。空母でその傷と疲れを癒さなければ次の戦いへ飛び立つことはできません。
「あの空母に帰りたくない」などという母艦では困るのです。空母は常にエネルギーを120%充填できる場所であり、それは物理的にだけではなく、精神的にも十二分に癒される場所でなくてはならないのです。
私が新人の頃のオフィス(リーダーとメンター)は、まさにそんな空母そのものだったのかもしれません。

私は研修現場でも、コンサルテーションの時にも、自戒の意味も込めてリーダーやマネージャークラスの方達にはお話をします。

「あなたとあなたのチームはどんな空母ですか? メンバーが疲れ傷ついてしまった時、そこへ帰りたいと思える場所ですか?それともその逆ですか?」

仕事なんだから当たり前。
確かにそうかもしれません。
しかし、「~したくなる」のと「~しなければならない」のでは雲泥の差です。
その気持ちの差は自ずと結果に反映されることは間違いありません。

マネージャーの皆さん
あなたはどんな空母ですか? 
どんな空母を目指しますか?

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