実家の裏手に尻無川(しりなしがわ)という小さな川が流れています。
私が子供の頃は汚れたドブ川でしたが、護岸工事がなされて今では澄んだ水が流れています。
カワセミが飛び交ったり、カモの家族が仲良く泳いでいたり、サギが夫婦で羽を休めているのをよく見かけます。
先日は白い蛇が泳いでいてビックリしました。
蛇って泳ぐんだ! 初めて知りました。
穏やかな日にはせせらぎの音がとても心地よくリズムを奏でます。深呼吸すると爽やかな水の匂いが胸いっぱいに飛び込んでくるようです。
少し風の強い日には水面が荒れ、水音がざわつきます。勢い増した流れとともに舞い落ちた葉やゴミが流れていき、さながら川の掃除を見ているようです。
少し前まで、こんな風に自然の音や匂いや色にはどちらかと言うと無頓着でした。
無頓着というよりも、そんな余裕はなかったと言う方が正しいように思います。
ただひたすら走っていた。遅れないように。負けないように。見えない何かにひたすら追われるように走り続けていたのです。
今のように川のせせらぎに耳を傾け心が清々しくなったり、月の美しさにうっとりとして癒されたり、沈みゆく夕日を眺めてその力強さにパワーをもらったり、そんな風に自然をたくさん感じるようになったのはここ数年のことです。
人として丁寧に生きたいと思うようになった時、自ずと自然に目が向いたのでした。
大型連休は実家で過ごすため、尻無川にやってくる生き物達の様子やせせらぎの音を楽しむことができます。
東京に帰っても、空を見上げ、風を感じ、自然に触れる工夫はその気になればいくらでもできるでしょう。
人間も自然の一部。自然から与えられるエネルギーは実に大きいのです。
大型連休が明ける来週からはまた走り出さなければなりません。
それでも「座一走七」。私にとっての「座」の時間は自然と触れ合う中から生まれてくると言っても良いかもしれません。
ただやみくもに必死で走るのではなく、常に心に余裕を持ち、楽しみながら走りたいと思っています。