雲出洞中明 くも いでて とうちゅう あきらかなり
意味:雲が晴れ、月の光が差し込み、それまで暗かった洞(ほこら)の中に月明かりが差し込み、パッと明るくなった。
これは、お坊さんが悟りを開くその瞬間の様子を詠んだもので、対の句となる上の句があります。
上の句は「雪消山骨露(ゆき きえて さんこつ あらわれ)」です。
上の句は雪が徐々に溶けていく様から、次第に明らかになっていく様。
下の句は、雪解けよりも早いスピードで、どちらかと言うと一気に明らかになっていく様。
私はそんな風に受け取りました。
悟りを開いたわけではありませんが、固定観念が外れ、一気に真因に辿り着いた、まさに「雲出洞中明」の経験が今日、ありました。
それは、アクションラーニングコーチとしてのブラッシュアッププログラムで、私自身が問題提示者としてセッションを行っていた時の事です。
メンバーは大学の先生がいたり、学生さんがいたり、多様性に富んでいます。
私の課題に対して、なかなか方法論から話題が抜け出せず、「これは無理かな・・・」と混沌とした気持ちでいた時に、学生さんがしてくれた質問で、一気に私の雲が晴れたのです。
それはまさに、一瞬の事でした。
モヤモヤが消え去り、目の前が急に明るくなり、「私の本当の問題はコレなんだ!」と気が付き、途端に、頭がどんどん独りでに回転し始め、解決策までが頭の中でとんとん拍子に出てきたのです。
セッション参加者も皆、停滞感を感じていたのに、私の突然の変わりように、皆、唖然としてしました。
突然、どうしたの? 何が起きたの?
そんな感じでこちらを見ていたのが私はとても可笑しく、「いやいや、みんなのおかげで私の雲は晴れたのよ!」と伝えたのでした。
堂々巡りだったり、なかなかうまく物事が進まなかったり、所謂、目の前に雲がかかっている状態、雪が山を覆いつくしている状態の時には、その雲や雪をどかさないことには、「本当のこと」が見えてきません。
私たち凡人が悟りを開いて「雲出洞中明」の世界を感じるのはなかなか難しいですが、私のように、行き詰まっていたことの解決策や真因が何かのきっかけで見えた時は、この世界を体験することが可能です。
実に快感! 雲を取り払うことの大切さを実感した次第です。
これには一つコツがあります。
それは、「見ている(見えている)世界がすべてではない」という意識です。
あなたも是非、この快感!体験をしてみてくださいね。