かつての私は自分の感情に振り回されることが多く、それによって凹んだり大喜びしたり、母曰く、「本当に忙しい人ね」と言われるほどに「ザ・感情」の生き物でした。
「『そう感じている』と言うだけで、そこに良し悪しはないんだから、そんなにいちいち自分の感情に反応することないのよ。」
そんな風にメンターコーチに言われたりもしたのですが、どうにもなかなか、自分の感情から逃れることができませんでした。
禅を学んで師のお坊様と座禅を生まれて初めて組むという時に、こんなお話をしてくださいました。
「最初の頃は、色々なことが頭に浮かんだり、周囲の音が気になったり、色々でしょう。その時には、『ああ、自分はダメだ』と思うのではなく、気がついた時点で『今、私は外の車の音が気になった』『私はお腹が空いたと感じて食べ物の事を考えた』などと、自分はどうだったと一旦受け止め、それからまた何も考えないようにしてみてください。最初のうちは、きっとその繰り返しだと思いますが、それで全然かまいませんからね。」
そう言われると気が楽になり、「私は足が痛いと感じた」「今、眠たいと思っている」「明日のプレゼンの心配をしていた」などと、その時々の自分を客観的に受け止め、自然と手放すことができました。
ある時、すごく残念に思うことがあって、悲しいのか悔しいのかわからないほどに混乱してしまい、またまた感情の奴隷になってしまいそうになった時の事です。
「私、今、すごく残念だと思っている。」
「悲しいのか悔しいのかわからないほどに、私は混乱している。」
まるで、もう一人の冷静な自分が今の自分を見つめて呟いているように、頭の中で独りでにそんな言葉たちが横切ったのです。
そうしたら、本当に不思議なのですが、今まであんなに感情に振り回され続けていた私だったのに、いつもより格段に冷静でいられたのです。
ん?これはいける?
それ以来、私は事あるごとに、こう考えるようになりました。
「今、私は自分にダメ出ししている」
「今、私は『やった~!』とちょっと天狗になりかけている」
「今、私は少し腹立たしく感じている」
「今、私は笑顔の自分をナイス!と思っている」
つまり、「今、私は、~と思っている」と言う風に、もう一人の自分が今の自分を客観的に見つめて現状をそのまま表現することで、感情のコントロールが不思議なほどにできるようになってきて、以前の私が嘘のように感情にとらわれなくなってきたのです。
ついつい、怒ってしまう。
悲しいと訳がわかなくなってしまう。
こんな風に、自分の感情コントロールが乱れがちな時、使ってみてください。
普段から練習しておけば、いざという時にもできるはずです。
「今、私は、~と思っている」
座禅から学んだ、自分を客観的に捉えるナイスなフレーズです。