「リーダーみたいに優しくなれなくって、ついイラっとして、キツイ事言ってしまうんです・・・」
同じチームの少し特徴的なメンバーSさんに優しくなれないと悩んでいるRさん。
この日もSさんに対して決定的一言を発してしまい、その場に居合わせたリーダーが慌ててSさんをフォローしたから良かったものの、自分の発した言葉がややもするとSさんをひどく追い込んでしまうものになると、Rさんはとても落ち込んでいたのでした。
私はRさんに言いました。
「いいじゃない!ちゃんと落ち込んでるんだから。」
「え???」
「だって、『悪かった』『言い過ぎた』と思ってるから落ち込んでるんでしょ?何にも気にしていなかったら修正するのも難しいけど、悪いことを悪いと自覚しているんだったら、ちゃんと、そのうち大丈夫よ。
ただ、悪かったと思ったんだったら、たとえリーダーがフォローしてくれたとしても、Sさんに対して謝った方が良いかもね。」
私の楽観的ともいえる言葉に面食らった様子のRさん。
そこで私は続けました。
「直そう!と思って簡単に直るんだったら誰も苦労しない。人間はそんなに簡単じゃないよ。ロボットだったら、ちょちょっとネジの一つか二つ、締めなおせばいいのかもしれないけどね。人間はそうはいかない。でも、自覚しているんだったら、少しずつでもいつかはちゃんと直るよ。私なんて、何年も何年もかかったよ。Rさんはまだ数か月じゃない。まだまだ青い。焦らなくても大丈夫!」
「尾藤さんみたいに何年もかかるだなんて・・・。」
少し笑顔になってそう言ったRさんには元気が戻ってきているようでした。
「そうそう、その調子。意識することから始まる。『言わない!』と我慢するんじゃなくて、言った後の苦い気持ちを忘れないで。その方がきっと歯止めになると思う。『あんな苦い気持ちを味わうのはイヤ』『キツイ言葉を発する醜い自分はイヤ』と自分に言い聞かせる方が、効果的なように、私は思うよ。」
「そうですね。キツイ事言った直後の自分の顔を見た時、本当にショックでした。ああいう顔、したくないですからね。」
ついついやってしまうこと、沁みついた習性など、いずれも簡単に直るわけではありません。
それでもそこに自覚があり、「直そう」「やめよう」と思っているなら、それが例えカメの歩みであったとしても、必ず修正されると私は信じます。
だから、そんなに落ち込む必要はありません。
最初の一歩は自覚すること、意識すること。
気づいているだけで、もう、ずいぶんと前へ進んでいると思ってくださいね。