MBTIやストレングスファインダー、エニアグラムなど人事の世界では自己分析ツールとしていろいろなモノが使われるることがあります。
これらのツールは客観的に自分をよく知り、他者との関わりにおいて自分の特徴(強味)をどう生かしていくかの参考にする分にはとても良いと思うのですが、使い方を間違えるととんでもない事になってしまう可能性があります。
例えば、チームメンバーの相互理解という名のもとに、リーダーがメンバーの分析結果を不用意に全員に公開したとします。
「へ~、そんな強みがあるんだ。すごいね。」
「そうそう、確かにそうだよね」
前向きに受け取っている時は良いのですが、注意をしなければそれを逆手にネガティブに捉える場面が出てくることがよくあります。
「最上志向が一番だからさ、妥協とかしないから私達にも半端なくいろいろ求めるよ、きっと。」
「挑戦する人だから『ごめん』って絶対言わないと思うよ。自分の弱さを認めたくないタイプだからね。」
こんな風に、「〇〇タイプだから××だよね」「〇〇タイプだから××苦手なんだよ」と先入観や決めつけで勝手にその人にレッテルを貼ってしまい、真実をきちんと見なかったり誤った判断をしてしまうことがあるのです。
随分前の話ですが、管理職の360度評価の結果を全体にオープンにしている企業がありました。
自分の低いポイントの部分の改善努力を期待してオープンにするのだというのですが、それはまるで、中学や高校のテスト結果の貼り出しのようです。
それで奮起する人もいるでしょうが、全くやる気が出ないばかりかやる気を失う人だっていることに気づくべきでしょう。
健康診断やストレスチェックの個人結果をオープンにする企業はさすがに今ではないと思いますが、今のように個人情報保護が言われていなかった時代には、当たり前のように公開されていた企業もありました。
今考えると恐ろしい限りです。
自己分析ツールの結果も360度評価の結果も、それらをどう使っていくかで初めて活きてくるのであり、Aさんは〇〇〇だった、Bさんは※※※だったなどと、単純公開しても何のメリットもありません。かえってデメリットが目立つばかりです。
どんなに有効な武器であってもきちんと正しく使わなければ逆に自らを傷つける凶器になり得るのです。
何かしらの分析や診断を行う場合には、結果をどのように効果的に扱っていくのかを、人事やマネージャーは予め十分に考えた上で取り組むことが大切なのです。