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「好き」を仕事にするということ

「好き」を仕事にしている人は大勢います。
私は「旅行会社に入る!」と小学校の卒業文集で宣言し、その通りに就職することができました。
私も好きを仕事にしたと言っても良いでしょう。

「好き」であってもきちんと「仕事」として成立している人と、「それって趣味じゃないの?」と思ってしまう人とがいます。
それは報酬が発生しているかどうかの問題ではありません。

例えば美容師さん。
髪を触るのが好き。綺麗にしてあげるのが好き。ヘアスタイリングを創り上げるのが好き。など、「好き」の理由は様々です。
この好きを自分本位で発信している場合、そこにお客様がつこうが高額な報酬がついてこようが、やはりそれは趣味レベルだと思います。
仕事とは相手合ってのこと。
いくら自分が「この人はこういうショートよりロングの方が絶対に似合うからそうしたい」とか「髪色は明るい方が似合うからそうしたい」と思っていても、お客様の生活が、ロングの手入れをする余裕がないからショートの方が良いとか、会社の規定でダークカラーしか難しいとかの場合、お客様のニーズを組んだ上で何が最善・最適かを考え、提案し、ベストを提供するのが仕事です。
そこに個人の思いの押し付けがあってはいけません。

「いえね、若い子の中には仕事と趣味の延長を混同している人がいてね。『好き』はいいんですけど、あくまでもお客様あってのことなので。」
行きつけの美容院で店長さんが嘆いていました。

コーチングに惚れ込んで、あまりにもコーチングが好きすぎて、誰にでもコーチングを提案する同僚がいました。
「尾藤さんももっとコーチング受けたら、もっと〇〇がレベルアップすると思いますよ。」と笑顔いっぱいで言われた時には、
「この人の辞書にはコーチング以外、何もないんだろうか・・・」
と思ったものです。
私だってプロだからコーチングの何たるかは知っているけど、ソコにまでコーチングを当て込むなんて、これはもう、立派なコーチング病、「好き」の押し売りだわ・・・ と。

あるメーカーがトップシェアを誇る部門から転落してしまった時、当時の社長がこんなことを言っていました。
「我々は自分たちが作りたいものを作りすぎて、お客様が本当に望んでいるものに真剣に目を向けることを疎かにしていた。」

好きを仕事にできるのは幸せなことです。
しかし、好きだからこそ思いが強すぎて、仕事が仕事でなくなり、お客様にとって押し付け以外の何物でもない、「趣味」になってしまう可能性は誰にで起こり得ます。
だからこそ、好きと思いの強さは懐にそっと忍ばせ、お客様視点を常に第一に「プロとしての仕事」を行いたいものです。

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