マネジメント・リーダーシップ誰だって変わることができる

引き返す勇気

登山に行って、「あれ?道間違えた?」と思ったら、
山頂が見えていたとしても、
その先の道が目指す山頂へつながっているかが分からなくなったら、
私は躊躇なく元来た道を引き返し、
自分がわかるところからまで立ち戻ってから再度進みます。

例えゴールが見えていても、進む道が見えないのはよくあること。
まして、そこまでたどり着くルートが多ければ多いほど、
どの道を選ぶのかは悩ましいですし(自分には難度が高すぎるとか、危険とか)
行き止まりや迷い道などもあるでしょうから、
ゴールが見えていても安心はできません。
だから私は迷わず引き返します。

「あれ?間違えた?」は、違和感と言うか、なんとなく感じるモヤモヤだったり。
その感覚をとても大切にしているし、それらの感覚はまず間違いなく正しいと思っています。

ついこの頃、この「もやもや」を感じる出来事がありました。
最初は「ん?」くらいの感じだったのが、「んん?」になり、
「もやっ」となり、「もやもや?」となっていきました。

コトが進み始める前なら話は簡単。取りやめるまでです。
しかし、既に進んでしまっていたら、
相手がいて、相手を既に巻き込んでしまっていたなら、
進み具合も結構なところまで進んでいたなら。
さあ、あなたはどうしますか?
きちんと立ち止まり、引き返す決断ができますか?

私は「もやもや」を感じた時、その感じた違和感が、
私に何かアラームを出しているかのように思えました。
「これ以上進むな。立ち止まれ。引き返せ。」

こんな風に聞こえました。
既にコトは進行中。
自分以外の他者も巻き込んでの進行中です。

自分一人だけならさっさと引き返しますが、他人を巻き込んでいるとなると
その人に少なからず損失を与えてしまうことになるでしょう。
「勘違いじゃないか」と思おうとしたり、気づかなかったふりをしたり、
なんとか自分をごまかそうとするもう一人の自分が登場するのです。

引き返せ、引き返せ、引き返せ。
アラーム音はいつしかとても大きくなってきました。
引き返せ、これ以上進むな。

立ち止まり、引き返す決断をしたものの、巻き込んだ相手に
どうその理由を伝えるかが次の問題です。
そのイニシアティブはこちらにあるわけですが、
申し訳なさやバツの悪さ、場合によっては関係性の消滅だってあるかもしれません。

どう相手に伝える・・・・
悩んだ末、正直にありのままを伝えることにしました。

「もやもや」や、「ん?」の部分を正直に伝えたのでした。

すると、違和感は相手もなんとなく感じていたようで、私の気持ちを分かってもらうことができました。
案ずるより産むがやすし でした。

相手が感度の高い人だったから良かった。
それもあるでしょう、

でも一番は、「違和感をありのままに伝えた」ことだと思っています。
正直に自分の言葉で丁寧に伝えることで、
その場に確かに存在したであろう違和感という空気を、
目には見えないけれど、「確かにそこにある」と相手もまた
感じてくれたのだと、私の言葉とその人の気持ちの奥底にあった何かとを
紐づけて、「私ももやってたかも」と感じてもらうことができたのだと
思っています。

違和感を感じる。
立ち止まる。引き返す。
相手に正直に伝える。
相手を尊重して丁寧に伝える。
違和感を共有する。

面倒に思い、つい避けてしまいたくなるこれら一連の行為。
でも、そのまま進めばトラブル確率が高いのなら、
いえ、上手くいくコトが想像できないのなら、
一旦立ち止まる。そして引き返す。
そんな勇気を持ちたいものです。

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