旅行会社に務めていた20代の頃は、所属チームによって忙しい時期に違いがあり、私が所属していた一般団体セールスは、夏休みの頃は「夏枯れ」というくらいにオフシーズンでした。
年休があまり余っている先輩たちは、ここぞとばかりに夏休みを取るのですが、「お客様には出張中と伝えてください」というのが当時は暗黙の了解でした。
入社1年目、たった5日しかない年休の1日を使ってお休みを取ろうと、私も先輩方の真似をして「〇日から〇日は出張で不在の予定です」とお客様に電話で伝えていると、指導社員の先輩から注意をされました。
「他の人がどうしているかは別として、このチームでは休みを取る時は、お客様に堂々と「お休みをいただきます」と伝えるように。僕達はお客様の出張や視察もあるけれども、レジャーを通してお客様がより充実した人生を送るお手伝いをしているんだよ。そんな僕たちが、自分たちが休みを取って楽しむことができず、また、堂々と休むと伝えられなくて、どうして他人様の手伝いができると思う? 堂々と休むと言えないのは、普段、お客様に対して精一杯向き合っていないからじゃないのかな?旅行業界に務める僕たちが休みを取ることは決して悪いことではない。堂々と『お休みをいただきます』と言うように。」
今でこそ、休暇促進や長時間労働撤廃の声が大きくなっていますが、当時は「24時間働けますか?!」が美徳とされた時代。
まだ半人前の新入社員が「お休みをいただきます」と言うのは、正直、とてもハードルが高いものがありました。しかし、正直にそのようにお客様にお伝えすると、「どこか旅行に行くの?今度、その情報教えてね。」と、そんなところから話のきっかけができ、お仕事に発展したりしたものです。
今でも「その頃は出張で不在でして。」というメンバーの声がどこかから聞こえてくると、「堂々と夏休みを頂きます、とお客様に言ってね。休むことは悪いことではないのだから。」とメンバーに伝えます。
そしてまずは、私から率先してその姿勢を示すようにしています。
8月15日から21日まで夏休みをいただきます。恒例の実家への規制で往復1700kmのドライブに行ってまいります。お休み明けには、これまで以上に良いお手伝いができますよう、しっかりと英気を養ってまいります。